週刊少年チャンピオン - 豚か狼か

全力の誠実さ          八音橋ナオキ『鬼々走々!』     

週刊少年チャンピオン
05 /22 2018


 ・マンガは読者に読んでもらうもの


 ・マンガは読者に楽しんでもらうもの



 …というのが自分の『根っこ』として考えているのがあって、そのせいか『気取った作品』というのはイマイチ好きになれない。他の方のマンガブログなどを見ると『フツーにマンガ読まれている方は楽しめるのかな?』みたいなラインナップになってるんですが、やはり自分はスタンダードな作品が好きなんですよね。



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 早くも再登場を成し遂げた 八音橋ナオキ先生の『鬼々走々!』 は本当にスタンダードな読み切りだ。


 ・内容は丸々鬼ごっこ

 ・登場キャラは三人

 ・ヒロインが意中の相手に告白する為に頑張る



 …とまあ、実にシンプルである。が、自分はこれに惹かれる。というのもチャンピオン誌のここ最近の新人賞は『妙に気取った感じの作品の比率が高い』と感じましたので。いや、それはもちろん非難とかされるものでは無い。マンガ家目指すならば売り込まないといけない。自分たちが就職活動する時だって、そういうのイロイロやるだろうし。



 何がしかの賞を取らないとマンガ家としてやっていく足がかりにならない



 …というのはある。



 が、前作『片瀬つむりの神速便』もそうであったが『読者に楽しんでもらいたい』という視点を最優先に描かれていることが作品から感じられる。他の新人賞作品に較べるとスマートさに欠け、いささか野暮ったい作風ですらある。それすらも全力で描けるという突き抜けた『誠実さ』が自分は読んでいて楽しいし、嬉しい。



 ただ、八音橋ナオキ先生の『読んでもらう・楽しんでもらう』と方向性がカッチリしているコトもあって、とにかくネームが素晴らしい。視線を落とした先に『はい!!』と『置いている感』はとても快感だ。奇抜なネームを切る新人さんが多い中、こういうネームで描いてくる方にこそ今後の活躍を期待したいです。




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心の声          板垣巴留『ビースターズ』    

週刊少年チャンピオン
05 /21 2018



 最近、興味深い説を聞いた。


 『虫には魂・感情みたいのが無い。プログラミングによって行動しているような生き物』


 …というヤツだ。そう言えば昔のアニメなんかに小型昆虫ロボットを使って人間に攻撃するなんて展開がありましたが、実はコレがマジであったというものだ。実際、虫にそういうプログラミング書き換えができたり、人間と同程度の知能があればたちどころに人間は駆逐されるだろう。



 とりあえず俺は『虫はそういうものだ』という認識になりつつある。




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 今回の『ビースターズ』はズバリ虫の話になってます。レゴシの虫が好き…という設定はここで活きてきている。



 しかし、作中の虫はずいぶんと知能が高いし世界を熟知している。また精神性もかなりの高みに在る…と言ってもいい。もちろんマンガの世界なんで『そういう風に描いてます』というコトでは全く問題ないのですが、自分としては『これはレゴシの内面の声』なのではないだろうか?という気もする。



 虫を生きたまま食べる…というコトで自覚無い内面の声を聞いたのではなかろうか?と。



 それは奇しくもリズが食殺した時に自分が感じたものでもあった。あれは『内面の声』ではなかったか?



 こうしてみると人間(作中では肉食獣ではありますが)というのは『自身の都合の良い解釈』にすがるのだな…と思う。それは絶望でもあり、同時に希望でもあるから厄介ではある。プログラミングで動いている虫のがよっぽど生き物として優れている。




 

納得               西修『魔入りました!入間くん』

週刊少年チャンピオン
05 /20 2018


 ストーリーとかあらすじってのは重要では無いんじゃなかろうか?



 …と自分は思っているトコロがある。というのも、自分の原点は『昭和のウルトラシリーズ』である。ガキの頃はほぼ毎日再放送されていた。その世代からちょっとズレてますが、『繰り返し観た』という量に関してはおそらく恵まれた世代だろう。



 何しろストーリーに関しては毎回似たようなものである。『怪獣が出たので、人間が立ち向かうが勝てない。そんな時にウルトラマンが現われて解決する』というフォーマットを延々と繰り返しているのだ。にも関わらず面白い。このマンガブログの根っこというのはここで培われたのは間違いない。



 そして思う。『観ている人は納得したいんだ』と。



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 『魔入りました!入間くん』という作品の何が魅力って、やっぱり『納得』の部分だろう。


 今回の一連のエピソードは特にコレが強く、最終局面である『最後の一手』は実に素晴らしい。パッと思いつき行動して、それがトントン拍子にうまくいってましたが、ここでつまづく。が、それを打破したのは『今までの何気ない日常の積み重ね』という部分に落としたのは見事です。悪い入間くんが頼もしくもありましたが、やはりこれまでの入間くんの積み重ねこそが大きかったのだな…と。



 また、話を次回に続けず今回で解決したのも巧い。



 『逆転は早すぎるぐらいに』という魅せ方を知ったのも、ウルトラシリーズでしたね。



 

大・好・物!!             水森崇史『マウンドの太陽』

週刊少年チャンピオン
05 /19 2018



 過去にも書いたけど、俺は『パソコンを片手に、キミの勝つ可能性は1パーセントも無い!!』とか豪語するキャラが大好きです。もし、俺がマンガ家だったら絶対に登場させますね。


 キーボードをね『タン…!』と心地良く叩いてキメセリフ言わせるね!!





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 そして、そう、メガネを『クイ…』とか『チャ…』とかズレを直したりして…




 完璧すぎる!!




 もう、俺、このシーンだけで『マウンドの太陽』が連載された意味はオツリがくるぐらいに有り余ったな~って心境です。



 そして


 そして、願わくば『こ、こんなのデータに無い!!陽原太陽!!彼は今も成長(アップデート)しているというの?』とかやって欲しいんだよな…。ウレションどころの話じやない。脱糞レベルですわ……。




 しかし、このシチュはチャンピオン購読歴の中では『サイカチ』以来だったかもしんない。



 そして、後々はマナ姉とマネージャーの信念のぶつかり合いがありそうな気がします。こういう『いろんな可能性を置いてくる』あたりもこのマンガの賢いトコロだな~。こういう野球マンガはマニアよりもフツーのマンガ読んで野球好きな方に支持されればかなりハマりそうな気がします。すなわち秋田書店の販売戦略如何かな~と。


完成感               佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』

週刊少年チャンピオン
05 /18 2018



 『修羅の門』で若い頃と印象が大きく変わったのが、第三部(アメリカボクシング編)でした。


 殺人術の主人公がルールが徹底され自身に制限のかかるボクシングで

 日本人なんと屁とも思わない異国で

 社会背景も考慮しながら



 …それでも勝ちに行く、というがいかに困難かが感じ取れた。これはやはり社会人になってイロイロ経験したコトが大きいだろう。




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 そういう意味では今回の猛虎はアウェイ感バリバリで、全体が盛り上げ、ノリにノッている鯉太郎とは対照的だ。見せ場も地味である。はやり、読者としては鯉太郎に肩入れしたくなるだろうし、そもそも展開から考えて負けることも考えづらい。



 が、ここで猛虎のコブシのアップが描かれるのが心憎い演出だ。ちょっと注意してみないと分からないけど『刻まれた無数の傷』に歴戦感があって、決してイージーな相手じゃない……むしろ穏やかなスゴ味を感じるものがあります。



 猛虎は作中で最も謙虚さを湛えたキャラでもある。強さを表に出さない、さらなる向上心の持ち主だ。ここで言いたいのは謙虚さが美徳云々の話でなくて『精神的に熟成している』というコト。精神性が最も完成に近いキャラクターなんです。



 なので、こういう魅せ方こそが猛虎に相応しいと感じます。彼もまたイロイロな経験をしてここに辿り着いたのだな。


 

確定                 安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』

週刊少年チャンピオン
05 /17 2018


 ここ最近よく書いてますが『マンガは雑誌でリアルタイムで読む』のが楽しいの一つだ。



 キャラクターの変化からの確定の経緯を楽しめる…というもの。




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 ことね部長、ダメ確定!!



 …とまあ、今週は贅沢な瞬間に立ち会ってしまった。このブログ記事でも彼女に関しては『良い先輩ですが、ところどころダメな雰囲気を漂わせている』というのがありました。



 ことね先輩はどうも昔からチヤホヤされていたせいか『自己能力が否定されるコトを極端に怯える』というのがあります。そのモードに入ったら対象相手にストーカーしたりしますもん。


 これって、将来的に会社勤めしてパワハラ上司に当たったらダメなヤツやん……。つーか、パワハラ上司は元より普通の方でも注意の仕方を間違ったら面倒くさいコトに発展する……。



 ことね先輩→ヤバい

 千晶→チョロい

 鈴→中身はマトモ



 …というイメージですね。


正論野郎!!         板垣巴留『ビースターズ』

週刊少年チャンピオン
05 /15 2018
 正論で会話を進めるヤツが嫌いだ。


 ①正論を言うのは簡単であり、それで自分がキチンと考え何かした…と勘違いしてるのが明け透けだから。

 ②その正論は『状況を良くしたい』ではなく『自分が優位に立ちたいだけ』という幼稚さが感じられるから。

 ③当然、正論だけで問題が解決しないから。



 …あたりが嫌いな理由だな。なので、正論野郎はムカつく。悪い、俺はムカつくんだよ。



 そして


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 お前がソレを言うのか?


 …という図々しさも嫌いだ。俺の経験上、正論野郎は図々しい……なんて書くと『ではその根拠を示してくれ』とか言っちゃうヤツだよ!!そういうヤツが嫌いなんだよ!!オメー、問題を解決しようなんて微塵も思ってないだろ!!思考停止なんだよ!!



 みたいな感じに『イラァ…』としてしまうのが自分の悪いトコロでもあり、今回のレゴシとは同調してしまったし、これを読まれている多くの方もリズに怒りを感じただろう。怒りの根っこは多分ココだ。何もしない・何も考えないで体裁だけはチャッカリ保持する要領の良さに対してだ。



 そして、注目はピナですね。


 このコはライトな享楽主義者なのに。こんな暗黒事件にも平然としている。なんつーか、恐怖心がブッ壊れているとしか思えない。あるいはそれ以上の恐怖を潜り抜けてきたのだろうか?ちょっと展開は分からないのですが、やはり『ピナのどうして?』は興味のあるトコロなので今後に描いていただけたら嬉しいですね。




対人評価            西修『魔入りました!入間くん』

週刊少年チャンピオン
05 /14 2018


 ムカつく女子『宇都宮くんは今日の掃除を一生懸命やらなかったのは良くないと思いま~す!!』


 一同『思いま~す!!』


 教師『有罪!!』


 …とまあ、小学生低学年から素行に問題あるクソガキであるからにして、こういう集団心理というのが嫌いであった。そもそもにそのムカつく女子だって『人のコト言えんのかよ…』であったが、まあそういう人は根回しが良かったりするもんで、着実にカースト上位をキープしていた。多分、ソイツが言わなきゃ俺は特に何事もなかっただろう。



 で、対人評価なんですが『特に酷くなきゃ、そんぐらい自分で決めろ』って思っているトコロがあります。例えば俺と仲良いヤツが俺の嫌いなヤツとつるんでいても『まあ、そういうもんだろ』ぐらいの感覚でそれが普通だと思っていたんですよ。だけど、世の中は『俺が嫌いなアイツとつるむな』という方もかなりの比率で居るらしい。



 度々書いてますが『人間に与えられた唯一の平等は人を自由に値踏みしても良い』とも思っているので、個人の主張なのに周囲を巻き込むってのが嫌いだ。



 なので



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 『学級会マンガ』ってのはどうも苦手だ。


 聞いてもねーのに、やたらと周囲がキャラクターを持ち上げて解説しだしちゃうタイプのマンガね。アイツはこーだからスゴイ!!エライ!!みたいなノリのヤツ。さすがにノーヒントって訳にもいかないが、それを決めるのは『読者』なんです。キャラクターがセリフで語るのは『マンガの否定』なのではなかろうか…とすら思う。



 さて、ここ最近の『入間くん』ですが、問題児ノーマルクラスの面々の魅力が描かれてますが、やはり西修先生は巧いですね~。今のチャンピオン誌であるとやはり『ビースターズ』がいろんな賞取って評価されているし、それは正当なものだと思いますが、そんな中で『入間くん』の西修先生も同等のマンガ力を持っていると感じます。


 キリヲ先輩編がいささか冗長(それでもチャンピオン誌の中ではかなり展開早いんだけど)に感じましたが、以降は展開スピードがかなり良くなっている。今回などは問題児クラスが各々活躍をして、同時進行でドラマが展開されているのが心地良い。


 で、その中で注目したいのが『コイツ等のスゴさ』を押し付けてない…というのはありますね。感覚的に読者に伝わるようにしている。もともと強かったサブノックに関しては『精神的な成長』を魅せるコトにより印象付けているのもグゥだ。



 今までは入間くんからはじまり、アリス・クララ・アメリの魅力がありましたが、いいタイミングで問題児クラスのキャラクターたちも好感度が高くなってきました。単行本読んでみると一冊あたりの内容も濃いな~。







来場所               佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』

週刊少年チャンピオン
05 /12 2018


 視点ってのは大事だ。人生は点じゃなくて線と考えると特に。その線のドコに点を持ってくるか……で今後が変わる。



 基本、人間ってのは目先に点を打ってしまうものですが、デキる人というのはイロイロ見据えて行動してます。自分もそういう目先に捉われない賢さが欲しいトコロですが。




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 来場所…と言ってしまった猛虎の今後がちょっと気になる。



 対する鮫島は『今を全力』という感じで、その差がどう描かれるのだろうか?



 相撲をアスリートとして考えるならば、猛虎の『来場所』は実に計画的だろう。何試合も戦うのがプロだ。過去の『アストロ球団』などは『一試合完全燃焼』というキチガイスローガンを掲げてしまったが為に、長期連載にも関わらず試合の度にメンバーが入院して僅か三試合だからな~。普通に死人出てるし。いや、あれはメッチャ面白いんですが、プロがあんなコトやっちゃいけないですもん。


 なので、鮫島みたいな生き方ってのは『いや、それはマズイだろ』っては思っちゃうんです。思っちゃうんですが、なんというかそれはとても憧れもあるんです。



 

はじめての試合                  水森崇史『マウンドの太陽』

週刊少年チャンピオン
05 /12 2018


 マンガはできれば単行本より雑誌連載のライブ感を楽しみたい…とたびたび書いてますが、その要素の一つに『新人』というのもある。


 その新人さんが今後ビッグになるか、それともマンガを発表するのが最後になるかは分かりませんが、それでも『この為にマンガを描いてきて、そして初めての本番』というのをリアルタイムで観るコトができる贅沢感はたまらん。



 野球ならば、プロのマウンドに立つために切磋琢磨し、競争を勝ち抜き、その資格を得てプレイボールのサイレンが鳴る。その瞬間を見る楽しみ。単行本であると、やはり録画を観ているような感覚だ。




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 そして『マウンドの太陽』の水森先生は今まさにこの瞬間である。



 この瞬間の為にマンガを描き続け、厳しい競争にも勝ち抜き、ツイッターでバズらせて実績も作ったりした。全てはこの瞬間の為だ。そして、今後も雑誌等で試合シーンを発表すると思いますが、それでも雑誌発表という『初めての公式試合』は後にも先にも今回コッキリです。



 なんだろう…?



 今回の『マウンドの太陽』はそれを描けている喜びみたいのがとても漲っているように感じるんですよね。もう楽しくて嬉しくて仕方ないって感じのワクワク感が作品から噴出している。



 こういうのいいな……!!



宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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