瀬口忍『囚人リク』 - 豚か狼か

清算         瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
08 /09 2017
 過ちそのものを『消す』というのは絶対にできない。


 その事実が人を苦しめる。どんなに心を入れ替えても『消す』というのはできない。しかし、どうにかしたい。清算したい…と思う。真面目な人ほど自身を追い詰めてしまう。


 最近つくづく思うのですが、真面目な人には『もっと甘やかしが必要だな…』と。この真面目というのは生来的なもののような気がする。



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  なので内海は清算したかったのだろう。


 フィクションに於いて、さんざん悪かったり過ちをおかした者が土壇場で清算する……というのは技法的にも盛り上がるし、印象に残る。そして、俺もそういうドラマ仕立ては好きだ。


 反面、おめおめと生き延びて、なんだか引きずりながら過ごす…というのはバツが悪い。あんまりそういうのは物語では見られない。



 なんだけど、自分たちのリアルって圧倒的に後者なんですよね。そして、時代が変化してネットの普及でイロイロと見えてくるものもあって『死に損』というのもあるのよ。『なんで、こんなヤツに利用されて死ななきゃならないの?』というコトで。



 真面目な人(ここ重要ね)には甘やかしがもっと必要なんですよね。『そんなコトまでしなくていいよ』って。前回のレノマのパンチはそういう意味もあったんだけど、やっぱり内海の気持ちをそこまで軽減できなかったようで。


 俺としては『内海がおめおめ生き延びる』というアンサーで着地させてほしい。死ぬしかないなんて一択しかないのは馬鹿げていると感じられるのが自然な世の中になってほしいですね。



 

 
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遠慮がちな手           瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
08 /01 2017


 マンガブログなどやってますが、時々『ここを書いて語るのは野暮かな?』と思うコトもある。察する面白さ…というのがあるから。そこの敷居を下げると『いちいちセリフで説明』になったりしてやっぱり野暮だ。


 基本、マンガというのは日本語が理解できれば楽しめるものですが、察するという能力が高ければなおさら良い。そして、100の説明よりも一枚の絵が雄弁に語るコトもある。



 それがマンガだ。




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 これがマンガだ。



 ……今週の『囚人リク』の遠慮がちな内海の手!!これがマンガです!!



 ここから察するものがあまりにもある。距離とか弱々しい握り……だけど自分は『そっち側に居たい』と願う意思が感じられる。このシーンで内海が心理変化をベラベラしゃべったら格好悪(ダサ)野暮いし、こうしてブログに書いているのも野暮いったらない。



 そして感じる。


 過ちとか失敗とか……それを消すことはできない。だから、人はいつでもやり直したいと願う気持ちに突き動かされるのだろう。正しいと感じた側に居たい……こんな生き物は人間だけだ。



殴って許す          瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
07 /25 2017


 暴力を許さない


 …とする考え方は分かるし、自分としてもそれを支持したい。が、それに続いて『話し合いで解決できる!!』と得意気に語るヤツは要注意だ。多分、その人は会話の組み立てが得意なのだろう。


 と言うか『それなりの知識と知能があれば言葉で言い負かすのはそんなに難しいコトじゃない』というのを知っている人なのだ。


 そして、そういう人は『言葉の暴力ならば何をしても構わない』と会話ゲームを楽しんでいる可能性が存分に高い。アウトにはならずに確実に相手を精神的に殺すコトを楽しんでいるヤツだ。



 そして



 そして、実は『言葉はそこまで万能じゃない』というコト。ルールに乗っ取った統合性はとれても、人の心を動かすのに絶対じゃない。時には暴力が人を救うこともある。



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 今週の『囚人リク』はいたたまれなくなった内海に対して、暴力をふるうレノマが描かれました。これをね古い世代は『愛のムチ』とか言ったりしますが、それはちょっと違う。変な言い方ですが『知恵ある暴力』という感じです。


 殴って許す…という知恵なんです。この場合、これが最も効果的なんじゃないでしょうか?俺としては『暴力反対!!話し合いで解決できる!!』という方に是非とも今回の内海を救済してほしいと思います。おそらくそれは無理だけどね。



 言葉が万能だと思うのは思いあがりだし、それは悪意ですらある。




信じる気持ちの強さ!!(ヤバい方に)             瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
07 /12 2017


 マンガで『描きたいもの』というのはイロイロあると思いますが、やはり『人の想いの強さ』というのは多くのマンガ家が挑みたい題材であろう。


 『人の思いの強さ』を描くことによって、読者に勇気やら希望などのポジティブを与えたい…とする作家は挑みたいに決まっている!!そして、マンガは『良い部分しか描かないコトのが多い』のも事実!!ラーメン食べてるマンガがあって、読んでてラーメン食べたくなるのはありますが、だからと言ってラーメンを食いすぎるのはカラダに当然悪い!!当たり前だ!!


 そういう意味ではマンガを読む人は『そういう部分も含めて捉えられる人』じゃないとダメなんですけどね。だけど、勇チャンみたいなアタマの弱い読者も一定数いたりするんですよ。ラーメンマンガで、幻の素材なんか出たりすると『本当にあるんだ!!』とか信じちゃうような読者が。



 なので『人の想いの強さ』のヤバい部分も描いた方がいいよ。うん。




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 たいそうヤバい。



 今週の『囚人リク』は『人の想いの強さ』のヤバい部分がめっさ描かれております。そもそもに『囚人リク』ったら『人の想いの強さ』に支えられているマンガじゃあないですか!!主人公・リクをはじめとした人々はキッチリ人間としての能力でマンガ的な超能力とか一切無い。




 だからこそ今回のヤバさは引き立つ……。



 一瞬、笑ってしまうシーンですが、これは『実は笑い事では無い』んです。この地球上の生き物で思考力が少しでもあるならば、生命の危機が訪れたら必死で抵抗し恐怖します。しかし、おそらく人間だけ…人間だけは『喜んで自ら死ぬ』というコトもあるんです。その想いが強ければ。どの生物も抗えない本能を、想いの強さって凌駕してしまうのです。



 そのコントロール方法・ノウハウは『在る』し、それを『悪用する人間』はいくらでもいるんです。



 物語はそういうヤバい部分も描いた方がいい。深みがグッと増す。


やせがまん         瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
06 /28 2017



 『我慢』というのは俺がガキの頃はカッコイイものだったんだけど、現代に於いての我慢は『愚かしいこと』になりつつあるように感じます。以前リクの記事にもしましたが『真面目』もまた愚かしいことになりつつあるような気がします。



 これに関しては勘違いしないようにしたいのですが、それらの感情は美徳であるコトには変わりません。少なくとも俺個人で人付き合いするならば『我慢強くて真面目』な方は是非とも学ばせていただきたいトコロである。



 それらを利用し食い物にしているヤツが悪いのではないでしょうか?騙される方・利用される方が悪いという理屈ならば俺はそういうコトを臆面もなく言えるヤツには関わりたくないけどね。




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 さいとうたかを先生が『男の美学はやせがまんに在る』とおっしゃってましたが、自分もなんとなくそれが感じられるようになってきた。付け加えると『やせがまんしか無い』とも語ってましたが。



 そもそもに生物視点で見た、男は女より価値が無いのである。女100男1の割合の世界のが女1男100の世界より真っ当だ。男は命を育めないのだから。だから男はガマンするのが大事なんです。何かコトが起こった時はガマンして切り抜けなくてはならないんですよね。



 今回の『囚人リク』のケースですと『できるのが江田と松尾しかいない』という状況なものですから悪いけどガマンしてもらうしか無いんです。ガマンというのは底力だ。決して愚かしいものではありません。それを悪用したり軽視する人が問題なんです。ここはハッキリクッキリと考えたいですね。



 

カッコつけるぜ!!         瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
06 /21 2017

 カッコつける……というのが時代の変化によって『カッコつけるはカッコ悪い』になりつつあるような。


 確かに承認欲求からくるものですから、あんまりいいもんじゃない。だけど、やっぱりカッコつけるというのもまた『いいな~』という憧れはあると思うんですよね。


 それがカッコ良ければどんどんカッコつけろ…でいいんじゃないでしょうか?



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 田中のカッコつけポーズはカッコいい?



 …ここら辺は微妙であるが、彼がポーズをキメている時はだいたい絶好調なんで、これがなくなったらマジでヤバい時ではある。つーか、すいません、俺メッチャ真似してます。部屋で一人の時に。



 さて、今週の本題はコッチでは無い。松尾がカッコつけるぜ!!といきり立ったのです。そして、自分は『こういう時こそカッコつけねば!!』という待ってました感はあります。思うんですが、これまでの人類の繁栄を推し進めるのに『カッコつけるぜ!!』というやせ我慢が無かったら、ここまではこれなかったんじゃないかな~と。



 そして、おそらく田中は松尾のそれを知っている。知っている上で頼ったのだろう。世の中、理屈で理論だけで動いているんじゃない。こういう根性寄り精神論もまた何かを成す時には必要なんだ…と自分は信じてます。




頭脳            瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
06 /13 2017


 『賭博黙示録カイジ』にて、帝愛グループトップの右腕として利根川と対決するコトになるのであるか、この心理戦は面白い。


 印象に残っているのが『気付くさ。気付くに決まっている。アンタは優秀だからな。故に疑う』というセリフで、優秀が故に気付き、そこに安心してしまう利根川を罠にかけるカイジの読みがスゴイ!!


 優秀が故に…


 優秀が故に仕留める方法がある、というコト。



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 今回の『囚人リク』もまた『優秀さ』を逆手にとった田中の罠でありますが、読んでて感じたのが『使える』というコト。ただし、勇チャンはマジモンのバカなので思いつかないのが残念ではありますが。


 剣崎というキャラを見てみると、まず『それなりに若い』と感じる。年齢はひょっとしたら20代ではなかろうか?そんな彼が鬼道院の右腕である。鬼道院自身としては『コイツは俺に心酔しているから裏切らない』と思っているのだろう。鬼道院という男が他人に対して心を許すというのは考えづらいが、どちらかと言えば『羽化したヒヨコが最初に見たものを親と勘違いする』的な刷り込みみたいに感じているんだろうな~。故に裏切らない、と。


 そして、何より剣崎自身が『そんな自分を誇らしい』と思っているのが、そもそもの間違いだったのだろう。



 自身を疑う…というのはとても大事なコトなんです。それは、より立場がある人ほど。政治家とかいわゆる『偉い人の失言』というのは自分を疑ってないから理解に至らないのだろう。あんまり『優れている』なんて勘違いしない方がいいな。


やっちゃいけない           瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
06 /06 2017

 子供の頃はよく大人に『そういうコトしちゃいけませんよ』と躾けられてきたものです。


 これって、実はとても大事な『知恵』じゃないかな~と感じるようになってきました。そして、大人になるとそういわれる機会が少なくなるので、たまにそれを忘れて悪くなっちゃう人もいますよね。



 人って、当たり前のコトを忘れちゃうんです。これは自戒も込めて。で、それを忘れないようにする為に




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 俺たちには『囚人リク』がある!!



 四大少年誌のチャンピオンはジャギポジションであるが、同時に『囚人リク』が相応しいのもチャンピオン!!チャンピオンより優れた少年誌など存在しねぇッ!!



 それにしても今週は田中一郎が見開きでポーズを決めていたので、これは期待してもいいでしょう。さすが俺たちの『囚人リク』だぜ!!

希望だけ           瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
05 /23 2017


 このマンガブログも続けてかなり経ちますが、やっぱり相応に時間を使っているので、以前のような若さは無いのはありますね~。


 何で若い頃はあんなに無茶できたのか?


 …それが当たり前だと思っていたコトが困難になっているように感じます。で、なるほどそういうコトか、と。だけど周囲の同年代を見てみると、確実な老化というのを知る。


 老化にもイロイロあるんだけど、まあ代表格は『昔は良かった』ですね。自分に置き換えると『昔のマンガは良かった。今のマンガはつまらない』と言い出したら老化以外の何者でも無い。これは肝に銘じておかねばならない。


 そして、今回の『囚人リク』を読んで感じたコトは



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 希望を抱かないというコトだと痛感する。


 俺にとっての老化というのは精神的なものであり年齢的なものでは無い…というのがあって、死ぬ直前まで若々しい方もいれば10代なのに枯れたヤツもいるというコト。


 希望を抱く…というのはニュアンス的には『楽天的』という意味では無いです。そして『希望を抱かない』というのは物事をやるにあたって『できない理由』や『やらない理由』をまず上げちゃう人です。これは老化でなくて何が老化か?


 …なんて、書くとこれを読まれているアナタにも心当たりはあるかもしれません。否定しかしない友人とか、ネガディブなコトを行って前進を妨げる上司とかですね。これはもう老化なんですよ。まあ、全く関わらないというのも難しいのですが、それを意識するだけで気持ちがラクになるんじゃないと。



 何かをしでかすときにはイロイロな要素が必要ですが、まず『希望』というのが無いと始まらない。書いてみて『これは当たり前なんじゃ…』という気もしますが、その当たり前をついつい忘れちゃうものです。


 フィクションの役割って『忘れていた当たり前を思い出させる』というのは在るんじゃないでしょうか?




拒絶した世界 拒絶する人間         瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
05 /17 2017


 これは個人的な考えですが『どんな人間も自分が正しいと思いたい』というのが在る。例外なく。自分に正当性を感じていたいんです。これを前提とすると『人間ってスゲー』と感じます。だって、動物にはそもそもそういう概念が無いんだぜ。そういうの無くてもただ生きるコトに必死なんだぜ。


 ところが


 ところが不思議なもので『世界に拒絶された人間は、世界を拒絶する人間になりたくなる』というのがある。簡単に言えば『グレる』とか『ヤケになる』とか『悪いコトに手を染めたくなる』とかどういう訳だか自分を痛めつけたくなる。


 なぜそうなのかは知らないが、それが人間でやっぱり『興味深い生き物』なんじゃないでしょうか?



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 内海もまたその例外ではなく、『世界に拒絶されたから、世界を拒絶したかった』という動機はなんとなく解るものが自分にはあります。その落差がまた激しかったからね。許されたくなかった…許されない方がラクなんだったんじゃないでしょうか?



 『その世界で苦しみながら生きていく』コトへの価値をなんとしても感じるコトが架せられた。人生ってのはどうしてこうもハードなんだろうね。ツライね。ツライんだけど、だいたいの人間がそれを生きているんだから本当に人間はスゴいよ。動物はンなコト考えないで生きるコトに全身全霊傾けられる分、人間より優れているよね。



 今回は300話にふさわしい回だったと思います。しかし、第一話から感想書き続けているけど、どっちも続いているなんて思わなかった!!(これが一番の驚き)



 

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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