週刊漫画TIMES - 豚か狼か

マンガ家の…                星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
02 /19 2018
 今週の『解体屋ゲン』は前回の続きでして、元ヤクザの中村は張り込みによって、現場窃盗犯と対面するが不意打ちをくらって失神し逃げられてしまう。しかし、被害者であるはずの中村は逆に『お前たちみたいのがいるから…』と言ったテイで相手にされない。仕事を失った中村と青嶋は今後どうするのか…?



 …というおおまかな流れの中で印象に残ったのが




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 川で水切りである。



 この『解体屋ゲン』という作品は随所でレトロチックな演出が光っているのも面白要素の一つである。『お~。こういうのは昔よく見たな~』と思ったのですが、何か引っかかる。そうだ!よく見た…という過去形なのだ。



 深刻化するマンガ家の水切り離れ!!


 
 …というのを実感した!!これはマジで由々しきコトなのだ!!そう、確かに昔はマンガ・アニメ・ドラマで頻繁に見たのであるが、すでに『懐かしい演出』になってしまっている。これを読まれている方も思い出して欲しいのですが、その『水切りのシーン』あるいは『川・海に石を投げ込む』というシーンはなぜそんなコトをしていのか?を考えてみてください。



 フィクションにおいてそれらのシーンはほぼ間違いなく『やり場のない悲しみ・怒り』を発散させる為にやっているシーンじゃなかったか?それらは『人生を左右する…というレベルではなく割と日常的な出来事』ではなかったか?そして、その根っこの部分は『理解されない悲しみ・怒り』ではなかったか?



 あれ?いつの間にかフィクションの世界は『理解されない悲しみ・怒り』を描かなくなったのではなかろうか?明らかに減少しているように感じます。



 もちろん『悲しい』も『怒り』も今の作品は描いている。描いてはいるが『理解されない』という部分に関しては『描きたがらない』という気もする。でも、世の中はそういうのって昔と変わらぬ比率であると思うんですよね。この『理解されない』系は観客がワンワン泣くタイプのものじゃないの。そういう意味ではエンターテイメントしてない。


 だけど、スゲー根深い悲しみと怒りなんですよ。



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 青嶋のこのセリフは『強がり』では無い。すでに痛みに鈍感になってしまっているんです。


 自分は『人間は誰かが見てないとダメになる』と思っています。何もイロイロと世話を焼くとか助けるって意味でなく。文字通り『見てくれる』というのが大事なんです。『理解されない悲しみ・怒り』は誰かがみてやらなきゃならないし、フィクションの大事な役割だと思うのです。



 だからマンガ家さんはもっともっと水切りシーンを描かなきゃいけない。





 
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フィクションは地続き            星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
02 /14 2018


 マンガに惹かれる理由として『フィクションだからこそ、よりリアルを感じさせる描き方もできる』というコトがある。この『リアルを感じ、日常に置き換える』というコトができなくなったら怖い。俺はとても怖い。


 リアルをイメージできないというのはどこか絵空事で無関係だと思ってしまう。人という生き物は『無関係なもの・無関心なものはなくなっても平気』だし、『だから攻撃して滅ぼしていい』という認識も持ったりする。考えるコト・現実に照らし合わせて考えるコト…その過程そのものが大事なんじゃないでしょうか?





 今回の『解体屋ゲン』は現場にいる働き者の二人が備品泥棒との疑いをかけられる。どうやら二人とも『元ヤクザ』のようだ…。そこに二人の雇い主である目崎が訪ねてきて…という流れだ。









 このセリフに対して違和感を感じる者もいるだろう。挙げた例も『俺は違う』というのも当然居るだろう。ただ、自分の感じたところはちょっと違っていて『誰も絶対安全は保証されない』という意味に感じます。そして目崎は『だから俺みたいに受け皿になってやるヤツがいなきゃいけないんだ』と考えているのだろう。


 世の中ってのは全員参加者なんです。誰が特別に偉いなんて無いし、人生に勝ち負けなんて無いって俺は信じたいんですよ。これはね綺麗事って訳じゃない。



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 電子書籍二巻……初期の頃から『解体屋ゲン』では度々描かれていたコトです。



 『知らない誰かが支えている』というコト。それに対してちょっとは理解して感謝してもバチは当たらない。前々から俺は『勝ち組・負け組』とか『底辺』とかそういう言葉の卑しさがイヤで腹立たしかったんですが、こういうカタチで訴えてくれる作品があるのは嬉しいコトですね。



 そういえば原作の星野先生が『ことなかれ』(画・オガツカヅオ先生)というホラーもやっているのも今回『あ、そうか!』と思った。そう、ホラーマンガもまた『リアルを感じ無いと怖く無い』というコト。ガテン系もホラー系も根っこの魅力は案外一緒なのかもしれない。


お客様への意識変化を…              星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
01 /17 2018


 お客様は神様です!!


 …という言葉がみんなを不幸にしたという認識が定着しつつあります。じゃあ、これから『どういう風に考えていこう』となると、売り手がお客様と共に幸せになる道を模索するのがいいんじゃないでしょうか?


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 『解体屋ゲン』で提示されたこのセリフに在る…と思います。売り手も勉強して、その得たものでお客様を教育する…というコト。めまぐるしく変化する世の中がさらに加速される現代はこれが重要になってきます。


 俺は客だぞ!!

 売ってやる!!


 …もう、そんなコトしている場合じゃない!!少なくとも自分はマンガというのがそれぐらい危機になっていると感じてます。









 さて、その『解体屋ゲン』が電子書籍に一石を投じてます。これを書いている現在は『一巻から五巻まで無料』という取り組みだ。そして、半額セールであり、結果26巻から最新刊までは1/4の値段で出されることになる。


 安売りしている…という意味では無い。


 ここが重要だ。自分も経験しているので分かるが『この機に電子書籍をやってみてください』という意思表示だ。どんなに優れた道具・システムでも『やるまでのハードルが高い』というのがある。スマホが登場した時も割と否定的な意見が多くかったのを覚えている方も多いだろう。新しいものは心理的ハードルができてしまうのだ。


 何もしなければマイナスにはならない。


 …人は元来保守的な生き物ではなかろうか?だからこそ『解体屋ゲン』はハードルを下げてみた。



 これはあくまで自分の『お願い』でありますが、せっかくなので電子書籍未体験の方は無料の1~5巻まででもいいからやってみてください。これで『合わないな』と思ったらそれでもいいです。お願いなので。


 ただ『お客様を教育する』というのは『お客様がいないと成立しない』ということでもあるんです。マンガで新たな試みをされている方を応援いただければ幸いです。



幸せって何だ?          沖田龍児『パスタでボ~ノ』

週刊漫画TIMES
12 /31 2017


 目の前に神様が現れて『キミを幸せにしたい。何でも願い事をいってごらん』というコトがあったらどうする?



 お金・権力・名声・高いスペック……等々あると思います。


 が、最近感じてしまった。『人間の欲望は底なしだけど、人間の幸せはこんなもんでいい』って感じてしまった。健康なカラダと気持ちがあって、ごはんがおいしくて、大事なものが健やかであれば人間は幸せなんではなかろうか?それに気付いて感謝できるコトが大事なんではなかろうか?そしてそれは日々の生活の中に在るんだよ…って。


 って、なると今のトコロの俺は神様に『いや、このままでいいス。他の人に回してください』と答えちゃいそうだ。もったいねぇなあ!!



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 そんな『気付き』が描かれているのが 沖田龍児先生の『パスタでボ~ノ』だ。この作品、自分が読んでなかった頃の週刊漫画TIMESに掲載されてたみたいですが、この度は電子書籍になりました。


 …と言っても、沖田先生は以前チャンピオン誌で『家族のオキテ』を描いていたので、これを読まれている方も知っている方も多いのでは無いでしょうか?『家族のオキテ』だと主人公が洋食屋に二日ぐらい働いていたので、この時の沖田先生の取材はコレに活かされているンだ!!(多分、違う)



 さて、この作品は一話完結のベタベタのフォーマットにならって展開していきます。



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 蓮田太(通称・パス太)と義理弟・ヒトシがクルマに乗って移動販売し



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 何でもパスタで解決!!  料理マンガの醍醐味ですね



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 最後は幸せに包まれてキメ台詞だ!!



 で、恋人を作りたいお人好しのパス太はいつも空回りという『男はつらいよ・パスタ編』みたいな流れになっております。



 この作品で関心するのが『フォーマットを守りつつ、楽しく読める』というコト。イロイロな要素をフォーマットでくるんで最後に「ああ、幸せでいいな~』という心地良い読後感があるコト。俺の根っこって『昭和のウルトラマン』で毎日再放送してたというのもあって、一時期『ヒネリの無いワンパターンな作品』ってバカにしてた時期もあるんですよ。だけど、だんだん『その繰り返しの中に意味はあるし、ひとつとして同じじゃないんだよ』って思えるようになったんですよね。



 『幸せってなんだろう?』って考えた時、『こういう答えじゃダメかな?』と感じさせてくれる良質な作品と言えましょう。




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 …作り方が載っているのも結構嬉しいぞ!!


趣味を理解できるか?          荒川三喜夫『ピアノのムシ』

週刊漫画TIMES
12 /25 2017


 まあ、割と趣味人なものですから『その手のヤナ経験』はしているし『テキトーにあしらっておけ』という知恵も身につけた。



 『お前、〇〇やってるみたいだけど?』『で、結局いくらぐらいかかってるの?』

 『〇〇ぐらい?』

 『高い!!高いよ!!』

 『そう?その気になればできるはずだ。現に同じ会社で同程度かそれ以下の給料の俺ができている』

 『他にイロイロかかるんだよ…』


 全く理解できてないな…と感じる。理解とは文字通り『理性で解する』というコト。もちろん、世の中には金銭的に恵まれなくてできない人は居る。が、この手の会話を吹っかけてくるヤツのほとんどが『理解できてない人』なのだ。


 『分かろうとしない人』には残念ながら趣味は難しい。これは俺側からはどーするコトもできんのよ。



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 今週の『ピアノのムシ』が興味深かった。


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 あらすじとしては、『どーせ続かないだろうと、粗悪品を買ってしまった父と、つまらなくなってしまった娘の話』というものですが。



 そもそも、その『理解』というのに関しては、俺の場合は『ラジコン』であった。趣味のラジコンというのは本当に面白いのであるが、同時に相応の出費がある。もちろん一般人であるからにして、やりくりが重要になるが『それでもこのラインは割るな』というのも存在する。


 お金が無い人がやっちゃいけないんですか?


 …という意見。俺はこれに怒りすら感じる。単なる甘えだ。


 なせ甘えか?


 何もお金持ちしかやっちゃいけないという訳じゃない。その言葉の奥底に『理解しようとしてない』という意志が透けて、そこに甘えを感じるからだ。趣味は『好きで自発的にやるもの』なのだから、ここら辺はキッチリした意志で臨んでもらわないと困る。あと、さっきも書いたけど、だいたいこういうコト突きつけるヤツって俺より金持ちなんだよな!!



 さておいて


 俺のラジコンの師匠は優秀な方であった。『いいかい。初心者というのはとにかくスピードばかり上げたがるけど、ちゃんと走るマシンを組み上げられるコトが大事だ』というアドバイスであった。事実、趣味のラジコンはコレでほとんどがふるい落とされる。本当の面白い部分を味わうことなく、勝手に『こんなものか』と納得してやめていくのである。


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 すごい分かる!!


 ピアノに関しては全くの無知ですが、言わんとしているコトは理解できる。これは全ての趣味に当てはまるコトだと断言してもいい。ラジコンに当てはめると、とにかく走らないマシンは気持ちが萎えていく。だから、ダメなものに触れちゃいけないし、ダメなものを触れないための最低限のラインは死守しなきゃならない。それを理解できないとどの趣味に手を出しても無駄づかいにしかならない。なら『やらない方がいい』になるんです。



 安く上げよう…というのもまた工夫のうちですが、心まで貧しくなると理解できなくなる。趣味というのはその対極に在るものなんです。



 


 

社会人と趣味             尾々根正『マエストロの暇つぶし』

週刊漫画TIMES
12 /19 2017

 おそらく向こうは『そういうオメーが信じらんないよ』と言うだろうけど、自分は『無趣味な人』というのが理解できない。


 いやいや世の中には楽しいものが溢れているから、どれか一つぐらいは合致するだろ?つーか、それが無い時点で生きてらんない…と思うのだけど、世の中は存外『無趣味』という方は多い。


 が、そんな俺もそれだけやってりゃいい訳では無いので仕方なく働いているのですが、『社会人と趣味』というのは密接だよな~。




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 …というコトで以前も記事にしました 尾々根正先生の『マエストロの暇つぶし』の一巻が発売されましたので記事を……。それにしても尾々根先生のマンガにはそこはかとない中二テイストがあるなあ(画像のコレとか)。



 そう、主人公・甲本は教師という職業に就いているものの『退屈している』という男です。と言っても、なんだかんだ『趣味人』というトコロもあったりで、むしろ一般的な感覚からかけ離れている気もする。



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 このマンガ…のみならず、掲載誌である週刊漫画TIMESとしても象徴的とも言えるのが、このシーンであろう。


 趣味人であれば、『これはクラシックの知識云々』を意味するものでは無いというのが理解できるだろう。自分もまたクラシックの知識は人並みだと思いますが、ここで言わんとしているコトは分かる。が、世の中というのは『無趣味』という方も多く、むしろ息子のような考え方のが圧倒的多数なんですよ。


 趣味は人生を豊かにする…という考え方が理解できない。個人的経験からするとどんな趣味であれ『まず金額を聞く人』というのは『あ…ダメだ』という気になる。そういうしがらみから逃れられないのが社会人ですが、そういうのを踏み込ませないで楽しみたいのも趣味人なんですよね…。



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 ところでこのマンガで頻繁に出てくる謎の居酒屋なんですけど、ここのオヤジは顔を見せないくせにやたら存在感があるなあ……。


デジタルへの活路   星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
12 /16 2017


 マンガ業界は常にクライシス!!


 …というのが自分の中にある。マンガ業界はライト層からマニア層のバランスの良さが感じられるのは大きい。例えばラジコンなんてマニア層しかいないし、それが高齢化している訳だからいずれ滅びは免れないだろう(完全には無くならないだろうけど)。厳しい言い方をすればメーカーが全体的に危機感を感じていなかったというのがある。


 マンガは奇跡的に層の幅広さにあぐらかいて危機感放置している。マンガが売れない…というコト。マンガの売り方が旧態依然としているコトだ。


 ガキの頃、観たい番組は一期一会の集中力をもって観ていた。そしてビデオが普及して『ソフト化・録画しているものは心ゆくまで観れる』になり、今はネットの普及でかなり手軽かつスピーディになって、同時にかかる費用も抑えられつつある。


 マンガもまたそういう流れになってきているが、そこまで整った環境には感じられない。例えば『こち亀』はフツーにマンガ読んでいる人には知られているタイトルではあるが、これを『今から全200巻そろえる』という方はなかなかいないだろう。まず、200巻を揃えている書店が無い。200巻というボリュームを置くスペースもそうとうなものになる。そして費用もかなりかかる(まあ、全200巻で八万チョイというのはやっぱ安いけど)。


 『こち亀』のみならず『ワンピース』『はじめの一歩』『ゴルゴ13』『美味しんぼ』みたいな長期連載作品に『役割ができた』と感じます。それは『デジタルの普及』というコト。そして、その先陣を切ったのが俺たちの『解体屋ゲン』だ!!



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 マンガ用タブレット買いました。


 Amazonの『Fire8 HD』です。セール中で約一万円でした。


 『解体屋ゲン』という作品は週刊漫画TIMESの長期連載作品(現在756話)ですが、諸事情で単行本は最初の一巻のみで、以降は未単行本作品になってます。が、ここにきて電子書籍で発表していて、換算すると74巻(現在)になります。



 で、ここで興味深い取り組みなのが『26巻以降は半値の270円』を打ち出してきたコト。単純に26巻~74巻までの本来の出費の差額でタブレットが買えてしまうというコト。これがキメ手となり、自分はタブレットを購入した。



 以前、無料公開してたときはスマホで見ていたがさすがに画面が小さく快適さがなかった。8インチにするとかなり快適だ。見開きで読むなら10インチでもいいかな?


 自分もちょっと前まで誤解していたのだけどキンドルは専用端末でなくてもいいんです。パソコン・スマホ・タブレットも対応している。そして、それらが壊れたら読めない…という不安が電子書籍のハードルになってましたが、『端末が安くなった』以上、消耗品として割り切る考え方に自分はシフトできた。


 実際、自分のマンガ事情としてはもう何年も前から置き場がなくなって(かなり確保しているにも関わらず)、仕方な二束三文でく売却してたのですが、この問題は解決に向かいつつある。



 電子書籍の普及をさまたげる要因の一つに『値段』もある。紙もデータも『ほぼ一緒』なのはなぜなんだろう?シロウトの認識としては『データのが安くなるよね?』というのがあるんですが、今のトコロこれに対して納得いくアンサー知らない。その分のお金はどこに流れているのか?これが作者印税に繁栄されるのならば自分としてはさらに電子に傾くだろう。




 なににせよ、長期連載作品が『電子化』して『値段を下げた』というのは大きな意味があるように感じます。





カワイコちゃんと同棲したい……         みこくのほまれ『サキちゃんは今夜もぺこぺこ』

週刊漫画TIMES
09 /20 2017


 マンガというのは娯楽だな~と。娯楽の役割を果たしているから俺は好きなんだろうな~とか思っちゃうんですよね。


 その価値の感じ方は『それぞれ』なんですが、フルコンタクト実戦マンガ記事を提唱している俺としては、なんつーか『偉くしない・したくない』というのがあります。度々書いてますが『マンガは世界に誇る日本の文化!!』みたいなノリが大っ嫌いなんですよね。


 楽しませてくれた……これで十分マンガは尊い。そして、その『楽しませる』というのはイロイロな方向がありまして、だから俺はイロイロなマンガを読みますが、『エロコメっていいよなぁ…』と思う。自分の好みにドンピシャした時もいいが、『ほう…こういう好みもあるのか!』と新たな魅力に気付かせてくれるヤツ!!


 昔は長髪+黒髪のヒロインが好きでしたが、最近はショートカットのヒロインも好きになりました。勇チャンは長い年月をかけてどこに出しても恥ずかしい否モテのオッサンオタクになりました。


 そして、明らかに作者の『ショートカット好き』がムンムン漂っているマンガ…



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 それが みこくのほまれ先生の『サキちゃんは今夜もぺこぺこ』である!!!!


 ストーリーとしては、否モテで童貞でオッサンな太田恋太(35)が、サッキュバス見習いのサキと同棲する……というこれでもかぐらいにスパルタンで上質なエロコメに仕上がってます。「山岡さん!!こんなのでいいの!!」とシンプルな料理に疑問を感じた栗田ゆうこに対した、山岡のような口調で俺は言う…



 「うむ…これでいい」


 何も引かない、何も足さない……オーソドックスの中に秘められた旨味成分の純度&濃さ。エロコメはいい。ハアハアします。


 そして、エロコメは『作者の信念』を豊かに楽しむものだ。確かに飲み会でガバガバとビールを飲むのも旨いし楽しい。が、人の楽しみ方は幅広い。エロコメとはウイスキーをゆったりと含み味わい、ツマミは少量のナッツで楽しむような豊かさなのだ。


 そんなマンガがオッサンマンガ誌である、週刊漫画TIMESな載るのは必然と言えましょう。ショートカットはいい…。あわよくば同棲したいのだ。



 試し読み→ コチラ

暴言・偏見・妄想撒き散らしマンガ      佐々木善章・森尾正博『肉極道』

週刊漫画TIMES
09 /18 2017


 アニメ製作アニメ『SHIROBAKO』のセリフにこんなのがあった


 『知らないで描写しちゃうのと、知っててそう描写しちゃうのは違う』


 …というもの。俺がうるさくなってしまうのはバイクマンガだったりするが、それでも作り手にキチンとした知識と理解の裏づけが感じられれば『ありえない描写』というのは許容できる。それがバイクマンガだと『ノーヘルで走る』というヤツね。これから登場するバイクマンガであっても、盛り上がり重視でガンガンノーヘルしてもらいたいし、それに対するツッコミは無視して問題無い。


 最近は『ヘイト』というイヤな言葉が流行ってますが、それでもフィクションにおいては臆せずガンガンやってもらいたいです。なんつーか、フィクションの暴言・偏見とか大好きなんですよ。知っててやっているという安心感があればそれを楽しむコトができるのもフィクションの強みだ。


 が、最近はネットとかあるからイロイロうるさい。それに臆せずガンガンやっている今注目のアタマの悪いマンガと言えば…



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 『肉極道』だろッ!!!!!!


 …と最近一巻が発売されたので早速購読。週刊漫画TIMES掲載時も酷いなと思いましたが、単行本で読んでも酷かった!!


 このマンガ、基本一話完結で、肉料理マンガです。フォーマットもウルトラマン並みにシンプルで、『肉食堂経営初心者・まなびが肉料理を出すも、肉極道にダメ出しをされて正しい調理法を教わる』というものです。このフォーマットの繰り返しですがウルトラマンが常に面白いように、このマンガも毎回爆発しております。俺の大好きなアチョーマンガというヤツです。



 さて、作品のウリの一つである(と俺は思っている)『暴言・偏見・妄想』ですが、例えば、『しょうが焼き編』では…


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 フツーに食べてます。


 しかし、それが肉極道にかかれば…


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 立派なドラマが構築されている!?



 また、『からあげ編』では


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 大分県中津市民はからあげのことしか頭にない連中なんだよ!!


  といった感じにMMRのキバヤシもビックリな偏見からの問題発言です!!


 そんなのが毎回載っているというのですから、これは勇チャンとしてはハアハアとヨダレ垂らしながらチンポを求めるエロゲヒロインのように『しゅごーい。もっとぉ~もっとぉ~』とイッてしまいます。


 もちろん、これはこのマンガの面白い『一要素にすぎない』のですが、自分としてはコレがツボでしたね~。



 それにしても『肉極道』に限らず、週刊漫画TIMES作品というのは実写メディア展開に向いた作品が多いですよね。『孤独のグルメ』みたいに、この『肉極道』も深夜実写ドラマになればスゲー面白そうなんですよ。その時は『妄想・偏見・暴言』を『努力・友情・勝利』のように掲げて余すところなくドラマ化してほしいです。



 試し読み→ コチラをクリック

知識もまた道具      尾々根正・大鳥居明楽『靴理人』

週刊漫画TIMES
08 /13 2017
『乗っているものが高価で素晴らしいものであっても、それでアナタ自身が偉くなったり能力が上がる訳ではありません。むしろそれに相応しい品格が求められるのです』



 …みたいな言葉をとあるマンガのあとがきに書かれていて、俺は衝撃を受けた。『そうだ、確かにそうだ。道具は道具であってそれを所持しているだけで人間性が向上するとか威張っていいなんて貧しい考えなんだ』と感じた。それは古典『ドラえもん』でさんざん描かれていたコトでもある。のび太は大抵失敗するが、たまに正しさを感じる意志を乗っけて道具を使う。



 そして、これは個人的に感じているコトなんですが『知識もまた道具』というコト。知識によって良い学校に就いたりするコトはできますが、それによって人間性そのものの向上とイコールにならないし、それを多く持っているコトによって少ない者を害する理由にならない。


 道具を如何に使うか?


 これこそが品格であろう。道具を使うのは人間ならでは。そして、品格を求められるのも人間ならでは。道具の使い方に品格が無いのは動物的ではなかろうか?



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 さて、今回は 尾々根正&大鳥居明楽先生の『靴理人』(シューリニン)です。


 フォーマットとしては『その人の履いている靴を見て、どのようなものを抱えているかを見抜く凄腕の靴修理人・尚木翔良(なおきしょうすけ)が修理を通じて綴られる一話完結方式のドラマです。全三巻という読みやすいボリュームでもあるし、この手のマンガは『たまに読み返したい』という面白さもあります。



 このマンガを読んで痛感するのが『知識を如何に使うか?』なんですよね。実際、このマンガを読むと靴に対する知識や感心が深まる。俺も『靴 減り方』でググッたし。確かに『ウンチクのつのるマンガ』というのは世に多く出ている。が、これを読まれている方も経験あると思うけど『つまらない』となった作品もあるだろう。学校の授業が基本つまらないように(そもそも学校は集団の中での振る舞い訓練が目的だし)。 


 このマンガは知識の使い方に品格を感じる


 …というコト。ここで描かれている『ウンチク』は、あくまで『人間ドラマを描くための道具』というコトだ。ウンチクを語り、相手にマウント取るのが目的では無いというコト。この手のマンガで『つまらない』というのはだいたいが『知識が目的』としての道具になっているんですよね。



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 また、作画の尾々根先生のテクニックは素晴らしいものがあって、特に感心したのがこのキャラかな?いわゆる『ストーカー気質のキ〇ガイ』で、こういうキャラってやたら幼児性の強調された描かれ方をして、オーバーアクション気味なんですが、その静かな佇まいが『逆にヤバい』と。自分のやっているコトに対して『無自覚』なのが狂っているなあ…と。目の描き方のサジ加減が絶妙なんですよね。



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 あと、悪役なんですが島耕作似というのに輝かしい悪意しか感じ無い。念の為、大絶賛の意味で。そもそも赤潮出版というのもたいそうヤバいなあ……。絶対、関わったらダメでしょ。


 そこはかとなく『いかにもマンガ的な面白さ』が濃縮されている(スキャン能力とかキメゼリフ)のも、この作品の魅力でしょう。ただ、それはドラマがシッカリ描かれている故の安定感なんです。





宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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