マンガ箴言 - 豚か狼か
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戦うという言葉は自分自身にしか使えない        川原正敏『修羅の門』

マンガ箴言
06 /03 2020



 やっぱりマンガというのは戦意高揚になる作品というのはいいですね~。



 何か困難にぶつかった時、弱かった主人公が勇気を出して立ち向かって勝利するなんてのはとても励みになる。マンガのそういうトコロが大好きです。



 ですが『盲信するなよ』という戒めになっているのが




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 『修羅の門』の12巻(最初の単行本)のこのシーンですね。



 主人公・九十九はアメリカに渡り、陸奥圓明流(殺人を目的とした古武術)はボクシングルールでも勝てる…と挑戦し確かに快進撃を続けるもビッグビジネスである以上、イロモノで目的とするアリオスと戦えない。


 そんな折、助けた少女は富豪の孫であり、事情を知った父親は渡し舟を提案する。孫は心臓の病気であり、手術が怖くて受けられないでいる。


 不可能に挑む姿を見せて、孫に勇気を与えて欲しい!!



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 断る。



 『戦うという言葉はいつだって自分自身のためにしか使えない』



 まあ、その後イロイロとありましたが、スッカリ九十九に迫力負けした富豪はトーナメント参加の工面を約束する。そして、立ち去り際に娘に一言



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 『勇気は人から与えられるもんじゃない。自分自身で絞り出すんだ』



 …と。もちろんこの言葉は少年誌の王道を否定するものでは無い。こういう考え方もまた在る…ということ。



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 ちなみに18巻で娘は再登場するのですが、あれだけ嫌がった手術を受けられたり。傷跡が残るのも嫌がった理由でもあるのですが…それでも。



 この少女には『この言葉が必要だったんだ』と感じました。


 
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人間は結局、短所は直せん!!          森田信吾『栄光なき天才たち2010・高畠導宏』

マンガ箴言
05 /04 2020


 よくマンガ家とかイラストレーターが『過去のヘタクソな絵を抹消したい』みたいなコト言ってますが、よく分かる。つーか、俺自身は過去のブログ記事を消したかったりする。デキの話じゃない。無知からくる傲慢な記事が我ながら腹が立つ。



 が、消す訳にはいかない。


 
 これは俺の足跡であり、戒めとしても残しておかなきゃならない。そして、その間に様々なキッカケがあった。その一つとして森田信吾先生の『栄光なき天才たち2010』のこの言葉がありますね。



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 伝説のバッティングコーチ・高畠導宏(たかはた みちひろ)は『人間というのは周囲の言葉に縛られてその通りに生きてしまう。欠点を指摘すれば萎縮して悪い方向に行ってしまう』と分析する。



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 『短所を克服するのが人間なのでは?』


 『無理だよ、それ!!』



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 『人間は結局、短所は直せん!!』



 『長所を伸ばすことによって、相対的に小さくする方策ならあり得るのではないか?』




 それまでの自分はアラ探しばかりしてたトコロがありますが、この言葉に出会って『そう考えてみよう』と思ったものです(できているか別として)。長所を見るというコト。



 また『誉めて伸ばす』という考え方は最近の主流ですが、鵜呑みにするのは『浅い』って気もするんです。高畠の言う『人は言葉に縛られてしまう。だから短所を直そうとすると逆効果だ。そして短所は直せない。だから長所を誉めて伸ばすことによって発揮される』ということ。その言葉の中には『諦めることによって新たな可能性が開く』ということ。ここまで考えて理解しないと言葉に力が宿らないということ。



 勉強は一生続くけど、自分はそれが良いなとも感じている。

これを嬉しいと思えるオレが嬉しい      川原正敏『修羅の門・第弐門』

マンガ箴言
05 /02 2020


 『帰ってきたウルトラマン』の第四話『必殺!流星キック』の回なんですが、放送一ヶ月目にしてアッサリ負けてしまうウルトラマンだったりする。


 さらに怪獣キングザウルスⅢ世に敗れたことがトラウマになって悪夢を見たりする。で、それを何とかしないといけないわけで、主人公は特訓の末に流星キックを身につけ、怪獣との再戦となりますがビビッて動けなくてカラータイマーが赤になってしまったりする。



 格好悪(ダサ)いって思います?でも、それが俺が最も好きなウルトラマンなんですよ。恐怖の感じ方は各々違う。とりわけ帰ってきたウルトラマンはビビリだし、さらにコロコロ負ける(先代のウルトラマンとセブンは一敗のみ)。



 俺はビビリとか弱っちいヤツがそれでも立ち向かっていく姿が好きなんです。




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 これを嬉しいと思えるオレが嬉しい



 今回のマンガ箴言は 川原正敏先生の『修羅の門・第弐門』の三巻におけるシーンです。



 この対戦相手の毅波秀明という男、『修羅の門』で一番最初に主人公・陸奥九十九が対戦したヤツだったりする。九十九が道場破りしようと思っていたら…先客だったという。毅波もなかなかの強さを持っていたものの、九十九に足をくじかれ、さらに留守から戻ってきた館長を前にビビって逃げ出したという男でした。




 そこからリアルタイムで四半世紀



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 その毅波が再び九十九の前に立ちふさがる。しかし、当然九十九は強い(そもそも負けたコトが無い)ので変わらぬ恐怖が毅波を襲いますが、今度のヤツは絶対に逃げずに直視している。やせ我慢もいいとこなんですが、それでも『逃げない俺が嬉しい』って誇れているんですよね。




 マンガに描かれているドラマは人生に於いて役に立つか?



 …って考えて『役に立つ』って言ったら『バカ言っちゃいけねぇ』って答えた方がいいかな~って思っているんです。なんつーか、やっぱり自分は『マンガは低俗な大衆娯楽』って思ってますんで。



 でも、ホントはあくまで個人的に『役に立つ』って信じているのもあるんです。そして、それは『こういうセリフ』なんですよね。強いヤツが当たり前に敵を倒せばスカッとして終わりですが、毅波のこの言葉は勇気をくれる。それが嬉しいと思えるオレが嬉しいのです。




 

生きるしかない        村田真哉・いふじシンセン『アラクニド』

マンガ箴言
04 /22 2020



 『生きるってなんですか?』



 昔のドラマ『スクールウォーズ』で死の病に侵され、自暴自棄になった少年の問いに主人公・滝沢は答えに苦しむ。これは本当に難しい問いだと思う。そして何より『各々違う』ということ。



 しかし、自分の中で『納得いく答え』というのがある。





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 生きるしかない。




 さて、今回は当ブログでも度々書いてます『アラクニド』です。そう、この作品の最初の記事に書きましたが『殺すしかない』というのが決めセリフでもあります。しかし、終盤13巻にこの『生きるしかない』というセリフがある。



 自分の中で『生きるってなんだ?』と聞かれたら『これです』と即答するだろう。そのぐらいにシックリきた。



 じゃあ『どうしてこのセリフが出たの?』と聞かれたら『自分はこの作品はこのセリフを言う為に在ったと思っているので確認してください』としか言いようが無い。ネタバレ上等の当ブログですが、これに関しては読んで欲しいって思ってます。



 そして



 この『生きるしかない』なんですが、他の素晴らしい作品の数々でも異口同音として『描かれている』ということに気付いた。ひよっとすると描いたマンガ家さんたちも『思考の途中』だったのかもしれない。『生きるってなんですか?』の詰まるところはこの作品に描かれたことだと感じてます。



 

小さな仕事               岬下部せすな『S線上のテナ』

マンガ箴言
04 /15 2020


 大きい方がえらい


 強い方がえらい



 …いや、そんなのは間違っていると思いつつも『どうして?』と聞かれたら明確な答えを言えなかった。でも、間違っていると思うし何より嫌なんだ。そして、弱い方・小さい方に味方して『そんな俺はえらくて正しい』ってスタンス気取るのも嫌だった。



 そんな疑問に光差すアンサーをくれたのが 岬下部せすな先生の『S線上のテナ』という作品のワンシーンだ。



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 貧乏暮らしなんかしてないで、もっと大きな仕事とればいいじゃない?それだけの実力があるんだから!!



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 では、儲けの少ない小さな仕事は誰がやるんだ?必要とする者も居るだろう?



 
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 『技術や知識はすべての者が共有すべく知的財産だ。でないと均衡がとれない』



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 『そしてこれが自分の役割なんだ』





 そうか、と強く感じた。



 そのことに『えらい』なんてミミッチイことにすがる話では無かったと知った。ただただ『そこに役割がある』ということ。それを果たすということ。その意思そのものに人間の偉大さが在るということ。




 若い時は結果・名声に惑わされたりするし、何も無い自分をツマラナイなんて思ったりするものですが、実際そうでもないんですよね。ただただ人は役割を果たせばいいし、えらくなくとも強くなくともいいんです。


勝てるなんて思って無い           古谷野孝雄『ANGEL VOICE』

マンガ箴言
04 /07 2020


 冷静に考えてみるとスポーツマンガってのはムチャクチャなのだ。



 多くは『まず、ズブの素人がそのスポーツと出会い』『メキメキと上達し』『勝利する』ってフォーマットなんですが、これが無茶である。やはりライバルは強豪校が良いが、そもそもに彼等はスジが良いトコロに昔っから頑張ってきたトコロにさらに高いレベルでレギュラー争いをしているのである。努力が報われるべき…と考えるならば彼等が報われないとスジが通らない。



 が、これはマンガ上の演出であり『じゃないと面白くならないだろ』という意味なので、そのこと自体は問題ない。ただ、現実に生きる我々が幻想抱いちゃいけないよね…。



 さて、どうするか…?




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 勝てるなんて思ってないよ。




 さて、今回のマンガ箴言は 古谷野孝雄先生の『ANGEL VOICE』です。このマンガ、負ければ廃部のサッカー部に不良を寄せ集めたチームで奮闘する…というものでして、なかなかにオーソドックスなのですが、同時に『ハッとさせられる名言』の宝庫だったりする。


 このシーン、全国二位の八津野との練習試合で10対2と大量リードされている中、キャプテン百瀬が言った言葉である。『全国二位相手に勝てる訳ないじゃん』と。



 これはスポーツマンガの中でも異質も異質であり、なんつーかスポーツマンガ全否定だよな。



 ただ、この言葉は重要な以下に続く



 『サッカー始めて1~2ヶ月のやつが多いのに、そんなに簡単に勝てたらつまんないだろ?今はまだ相手チームから吸収していく段階なんだよ。集中を切らしちゃいけない』



 …ということ。これ、全ての物事に通ずる大事なことですよね~。結果ばかり求める人は結果を得られない。過程を軽視しちゃいけない。その過程もベストを尽くし、いろいろと思考すること。




 『ANGEL VOICE』は実に箴言に満ちた作品でオススメです。全40巻と長めですが、それだけの時間は無駄になりませんよ。



何度でも         竹下けんじろう『釣り屋ナガレ』

マンガ箴言
03 /02 2020


 『強い人間というのを考えると、悪いことをせず目立たず生きている人だと思う』



 …みたいなコトを荒木飛呂彦先生(ジョジョの単行本コメントだったと思う)言ってて、当時は『確かにそうだ』と思ったものの、どうにも理解に届いていないような気がした。以後、ずっと宿題のようにも感じていた。



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 『どんなに他人を恨んで呪っても自分が救われるわけじゃないぞ』



 …最近『釣り屋ナガレ』を再読して『そういうことか!!』と解が出た気がした。もちろんこれは俺の勘違いであるとも言えるのだが。




 この画像の男・寄元くんは将来的には『釣り』で生計を立てたいと夢を見てフィシッングアカデミーに入学する。もともと恵まれた家庭でも無いので安い道具で頑張りながらもバイトしてました。


 してましたが


 
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 父親がリストラにあったトコロに、イロイロと不幸が重なり自暴自棄に。そして退学する。



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 ゴミ捨て場から拾ったゴルフクラブから独自の釣竿を作ってキャスティング練習しつつ、彼は新たな目標を見出しつつあった。大会に出て、スポンサーを獲得できればプロの道はあるかもしれない…と。



 大会に出た彼は驚愕する。


 
 かつて自分を追い出したフィシッングアカデミーの生徒たちが大会に出ている!!ようやく見つけた自分の居場所が侵略される!!




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 そうだ!!ズルしよう!!



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 やれっ!!やっちまえ!!




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 しかし、寄元くんはかつての自分がそうだったように子供の笑顔は裏切れなかった。






 この一連の流れを読んで感じるのは


 ①悪事ってのは大抵バレない。ローリスクハイリターン。

 ②だからあらゆる出来事にズルはなくならない。

 ③逆に正しいことは目立たない・誰も誉めてくれない。

 ④そしてそれは生きている間、何度でも訪れる。



 まず、裕福で無い中で夢を追った寄元くんは立派である。さらに挫折から新たな可能性を見出し努力したことも素晴らしい。しかし、それすら裏切られる。



 人というのは『ここまでやったから自分は報われていいはずだ』と『免罪符』を作ってしまうものです。また、確実に成功するイージーな悪事ってのも存在するんです。しかし、それは『弱さ』なのです。何度失敗し、挫折しても悪いことに手を染めずに目立たず戦い続けること、それが強い人間ではないでしょうか?



 寄元くんは誰も誉めてくれないけど、自分は『立派だったよ』って認めてあげたいな~。なんとなくなんですが、今の彼は釣り関係の仕事してて、華やかではないけど子供たちに指導してるんじゃないかと思います。そうやって彼は何度でもやってきたんだろう。






 

一般人とオタク        尾々根正『マエストロの暇つぶし』

マンガ箴言
02 /24 2020


 マンガの中のワンシーンで深く刻まれたり気付かされたりするのってありますよね~。というコトで思いつきに『マンガ箴言』のカテゴリを作ってみました。




 さて、自分は宮崎事件の世代なんでオタク=社会的脅威なのでコイツ等は人では無い、という感覚がいつまで経っても抜けません。ただ時代も良い方向に転がっていて『ボク、オタクなんです~』と平気で言えるようになったのはうまらやしいかぎりです。



 しかし



 なんつーか、隠れキリシタンみたいな恐怖を抱きながらオタクやっていたトコロもあって『こういうのクチにすんじゃねーよ』と思っちゃうトコロもある。さらに裾野が広がったせいかお前などオタクでは無いとか老害発言もしたくもなります。




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 このシーンを理解できる人はオタク気質だと思います。




 レコード収拾道楽が過ぎる父に対して息子の『チャイコフスキーの同じ交響曲を10枚以上持ってて無駄だろ』


 対して『なぜ分からん?なぜ理解できない?』




 ちなみに俺は音楽の知識は人並み以下だ。音楽を聴く習慣が無い。音楽を聴くと他のコトができなくなるシングルタスクだから。だが、オタクであるんで『理解はできる』のだ。



 1/144ガンダムのプラモはメチャ種類あるけどキットの状態でも全部違う。それには人々の試行錯誤の蓄積が在る。それは他のジャンル…生き方や仕事にも共通して言えることなのだ。



 が、オタクで無い人というのはそれが全く理解できない。



 例えば『本など1回読んだらオシマイ。古本屋に売ればいい』ってのが一般人の感覚で、オタクというのは『何年後かに読むとまた違った発見がある』というのを確信してるから処分しない。



 こういう違いがある。



 こう書くと『じゃあ、一般人はオタクより劣っているのか?』と怒るかもしれないが、自分は『いや、むしろ生き物として人間として劣っているのはオタクの方であり、オタクとして生きるのは無駄な業』とすら思ってます。



宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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