悪くなってしまったの        瀬口忍『囚人リク』 - 豚か狼か

悪くなってしまったの        瀬口忍『囚人リク』

瀬口忍『囚人リク』
10 /18 2015


 『小原、落とした(自白)のは俺だけど、裁いたのは俺じゃない』


 日本を震撼させた『吉展ちゃん誘拐殺人事件』を描いた本田靖春氏の『誘拐』の最後の一文である。このドキュメントを読むととてつもない無常感と悲しみがわきあがってくる。確かに『悪いコトは悪い』のですが、『何が間違ってしまったのだろう?』というやるせなさ。当たり前のコトですが、みんな『輝かしい未来が欲しい』というのは間違いないんですよね。


 議論としてあるのが、『昔悪いコトをしていた人間が良くなった自慢がイラっとする。普通に悪いコトしなかった人間のが優れている』というものですが、自分は最近そういう論調に疑問を感じてきたんですよ。まあ、確かに自分もそうなんですが、ひとつに『世の中にはいろんな事情の人が居る』というコト。もう一つに『俺は運良くそっちの人間でなかっただけで、いつそうなるか分からないんだぞ』というコト。


 初代ウルトラマンでの『故郷は地球』のジャミラは人間でもあるのに『イロイロと都合が悪い』と人々から攻撃を受けて、当のジャミラは普通に生活する人々を襲い、そしてウルトラマンは人間であるジャミラを『秩序の維持』の為に殺す。イデ隊員は叫ぶ。『戦うのをやめる。ジャミラは仲間じゃないのか?俺たちだって、いつジャミラになるか分からないんだ』と。


 なんつーか、人を見て『俺とは無関係の世界の住人』と考えるのはどうかな~と。



 20150474.jpg


 今週の『囚人リク』は、こんなところで親切なオジサンに会う……というエピソードが挟まってます。こんな良い人なのになぜここに?という疑問が。そして解としては、そりゃ全員が全員分かりやすい荒くれモノじゃねぇよな……という当たり前に帰結する。世の中にはいろんな事情の人が居て、運悪くココに辿り着いてしまった……というだけなんです。そんな中でも、自分より他人を優先させてしまうような人が居る。これも本当のコトじゃないかなと思います。


 『昔悪かった自慢』というのは確かにイラッとするものですが、そこで善と悪の二元論で語るのは貧しいと感じる。すくなくとも『そうなった』という過程は必ずあるのだから。やっぱり自分は自分のコトを理解してもらいたいとは思いますよ。それは当然の欲求でしょう。だから、他人のコトも想像して歩み寄る余裕は必要なんじゃないか……そんなハッとさせられる今週の『囚人リク』でした。


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

メールはコチラまで
BQE01233(あっとまーく)nifty.ne.jp