人は笑えることができる         板倉梓『少女カフェ 完全版』 - 豚か狼か

人は笑えることができる         板倉梓『少女カフェ 完全版』

同人誌
10 /28 2015

 『でも、何かを失った後でも、

 人は笑うことができる。

 失ったものを埋める方法じゃなくても、

 日々の中に喜びはあるんだよ、と思います』


 ……とまあ、これはあとがきの抜粋なんですが。


 マンガを読んでいてピンとクる瞬間があって、『あ、この人がマンガをやめない限りは、俺はこの人のマンガとずっと付き合うんだろうな……』と予感するマンガ家さんにぶつかるコトがある。まあ、そんな気取ったものでなくて、それが自然体みたいな。



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 今回は 板倉梓先生の『少女カフェ 完全版』ですが、自分にとって板倉先生の作品はそんな存在。以前は記事にしましたが、その…まあ…単行本の売り上げが芳しくなかったので続巻が出なかったという。が、完全版が出たおかげでこうして読めるようになりました。詳しくはホームページにて確認されたし。


 昨日は『漫画専門学校生の青春』でコミティアについて触れましたが、この『少女カフェ 完全版』もコミティアで入手したものでした。まあ、俺はコミケははるか昔に一回行ったきりで説得力ゼロビームですが、『コミティアはいいぜ』と書いておく。


 さて、完全版というだけに全ての内容が入っておりますが、ストーリーとしては『若夫婦で切り盛りしていた喫茶店が、母を亡くし、双子の姉妹が入って頑張る』というもので、事実、作品はこの二人のキュートさに支えられる朗らかなものになっている。まず、重要なコトなんですが『普通にマンガ読んでいる方もスンナリ読める』というマンガの娯楽性が主体だ。



 が、同時に板倉梓先生のテイストがある。度々描いているのだけど、板倉先生の作品は『俺たちサイド』というのがある。そう、マンガというのはそもそも『大衆娯楽』なんですが、そっち側であるということ。そこらに居る人々が綴られている。


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 たげど…


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 やっぱり母親(マチコ)が居なくなったのは何時までも悲しく寂しい。人間の心というのは本当に不合理だと。


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  『でも、何かを失った後でも、人は笑うことができる』と作品は暖かく描いてくれている。忘れるなんてとんでも無い、メソメソと未練タラタラでとっても辛くてもそれは仕方ない。だけど、人はその中でも笑っていけるんだ……というコト。これも本当のコトなんですよね。


 で、そういう話って実はどこにでもそこらに転がっていて、そこらに居る人々はそれでも笑って生きている。そんな当たり前に意外と気付かないものなんですよね。とてもツライコトがあって、それがそれこそ尾を引いたまま死ぬコトがあっても『それでも人は笑うことができる』という強さを持っている。


 何も特別でなくても卑下することはない。逃げ出したいのに戦い続けているアナタはそれだけで強いんですよ、と希望をくれる板倉先生の作品は今後ともお付き合いしたいです。




 
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宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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