緊急時の値踏み        藤見泰高・REDICE『巨蟲列島』 - 豚か狼か

緊急時の値踏み        藤見泰高・REDICE『巨蟲列島』

週刊少年チャンピオン
12 /19 2015

 『バトルロワイアル』において、三村は中学二年生とは思えないほどに賢かった。思考の合理性はそこらの大人より大人と言っていいだろう。結果、それが命を落とすことになるのであるが、彼は値踏みをしていた。『普段の付き合いなら構わないけど、肝心な場面ではコイツには預けられない』という感じで。


 俺としては三村に間違いは無かった。ただ、一緒に行動した瀬戸が普通の少年であったのが不幸であった。運が悪かった。イロイロと。


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 …というコトで二巻が発売されました『巨蟲列島』です。


 前回は『いきなり巨大化した虫が襲ってきた!!』という危機からのサバイバルマンガがスタートしてますが、この二巻からは『緊急時に困った人たち』というアタマの切り替えが出来ない人々がストレスをくれやがる展開が面白くなってます。


 ぶっちゃけ、緊急時というのはもちろんとても困難なコトなんですが、考えなきゃいけないコトは至ってシンプルだ。『どうやったら生き残る確率ができるだけ上げられるか?』だ。あんまりこういう事態に突入したくないけど、自分はつまるトコはコレだし、コレしか人間にはできないと思う。


 今回の二巻の表紙を見て『意図的なんかな…?』と思った。自分がこの作品の中で思うに『分かっているのはこの三人』というのがある。あとは残念ながら分かってない。この分かってない人というのは普段は困ったコトはしないが、こういう時は本当に困る。なまじ普段が充実してたり、デキる人だとタチが悪い。


 経験上、会社のクソ上司などはこれに当てはまる。何かをするにつけて『絶対に』を押し付けてくる。いい歳こいて『そんなものは存在しない』というのに気付いてないからタチが悪い。根本的に平行線ではあるが、日常では壊滅的なコトにならない。


 が、『東日本大震災』の時になどはボロが出る。不愉快な話なんでこれについては事細かに書かないが、これを読んでいる方も心当たりがあるかもしれない。


 今回の注目ドラマは甲斐くんだ。


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 明確に描かれて無いので自分の想像になるのだけど、これは『甲斐くんの牽制』の意味合いである。逆に言えば『頼れるヤツなら協力は惜しまない』というコト。甲斐くんは『値踏み』をしている。


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 『さっきから見ているけど、コイツは預けちゃダメだな』という判断。


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 『コイツはアテにできるから話しておこう』という判断。


 先ほども書いたように『緊急時は生き残る確率を上げる』コトだけ考えてりゃいい。その為の『協力』である。


 が、困ったコトにパニックに陥った人々はどうとう訳だか『それ今は考えなくていいんだよッ!!』と言いたくなるようなコトをする。アレは謎だ(震災を振り返って)。


 が、まあ、そう思っちゃうのは慢心以外の何者でも無いので、『巨蟲列島』みたいな警鐘ならしてくれるマンガはありがたいですね。これもある意味の避難訓練だし。



 それにしても、この巻の終盤で登場する、中城先生ですが、彼女のタチの悪さは一級品でホント困る。物語を面白くしてくれるけど、この『現実に居そう』感がハンパ無い。




 
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宇都宮 勇

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