高い画力         松本豊『スメラギドレッサーズ』 - 豚か狼か

高い画力         松本豊『スメラギドレッサーズ』

松本豊『スメラギドレッサーズ』       
01 /26 2016

 マンガの絵について考える。


 そもそもに教科書に載るような絵とマンガの絵というのは目的そのものが違う。カレーとラーメンどちらが優れているか?ぐらいに不毛なコトだ。


 マンガの絵というのは『楽しんでくれればいい』というのに特化している。そして、それは芸術のように限られた人種に届けるものでなく、普通に生活している人々に届けるものだ。だから俺はマンガが好きだ。肯定の否定も好きにしていい……その自由さが好き。


 で、『上手い絵』というのがあったりして、それを分析すると『受ける要素を拾うのに長けている』という場合がある。そういうマンガ絵はそれなりの人気は出るけど、さらにそれ以上の領域となると壁にぶち当たる。これまで順調だったからこそ、失速した時の再浮上が難しい。


 で、一見『あんまりうまくない』というマンガ絵が『実は巧い』というのも多々ある。先述の『楽しんでくれればいい』という要素を見事にクリアしてるの。以前にも書いたけど、福本伸行先生と『進撃の巨人』は巧いと思ってます。



 そして


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 松本豊先生のマンガ画力はメチャ高い!! 


 ええっと、ヒイキしている作品だから『甘めにそう評価している』という訳じゃないし、むしろそうならないように今まで『これはどうかな?』と思える部分は記事にしてきた。これをほぐした言い方にすると『もともとあったポテンシャルが連載を通じて開花してきた』というケースです。

 まず、上記の画像に関しては『サクラスキルを使う時のポーズ』として完全に読者に印象づけた。また、サクラの100%は花びらが舞っているので作画カロリーが高い(いつもできない)というコト。今回はやたらに作画に手間がかかっているのですが、『良い意味で手の抜き方を知っている』というコト。マラソンをいきなり全力疾走するのはアホでしかない。『ここまでしかできない』という枠を理解して『では一番効果的なのは?』というマネジメントが達者なんです。週刊というマンガでは重要だ。


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 難しい構図も積極的に取り入れ、そもそもバランスそのものは狂ってない。


 思うに、松本先生は『受ける要素を拾うのに長ける』というのが苦手なのではなかろうか?それは『言えば分かる』という習得にはイージーな部分なんで、ここら辺は編集部の頑張りが重要になるんじやないでしょうか?


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 実際、かつて作業用ゴム手袋・ゴム長靴っぺえパーツが連載を通じてディテールアップしているし!!そもそも松本先生は『キッカケさえ与えておけば問題ない』という器用なタイプに感じてきた。


 むしろ


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 凝った絵作りに対しては『貪欲で常に乾いている』という気がする。このアクションの繋ぎのコマも『重力と動きを感じさせる上着』の描写力はかなり凝っている。05の数字がイイ感じに歪んでいるのもグゥ!!


 そもそもかなでの髪型が長いサイドテールなのも『動き』を強調するのが狙いだったっぺえし(ブレイクした時も分かりやすい)。


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 クライマックスシーンの足もいいですね~。骨格・肉付きもキチンと感じさせるし、ドレスの素材感もキチッと出ている。これならコスプレイヤーも安心だね!!是非ともドレスルームも用意して生着替えしよう!!



でした。 ……とまあ、今回は絵について書いたんだけど、内容の盛り上がりは素晴らしいものがあって、いちいち書くのも野暮って感じがありました。『スメラギドレッサーズ』が深夜アニメになったらここまでがワンクールだよなというぐらいに見事に決まった……パズルのピースが『パチン!!』と音を立ててはまったような心地良さでした。


 もう一度。『松本先生はマンガ画力そのものは高い。それが連載を通じて開花してきた。これからも目が離せない存在だ』というコト。とても刺激的な作品だ。



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宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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