いくぜ、百本組手!!⑤        星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』 - 豚か狼か

いくぜ、百本組手!!⑤        星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
02 /03 2016
 昔、マンガというのは『貴重品』であった。


 そもそもに娯楽の種類が少ない。そして、その娯楽に対する『枯渇感』というのはイマドキの比ではない。『うわぁ、マンガだ!!』なんて感嘆と憧れの声というのはなかなか理解しづらくなっているのかもしんない(同様に(うわぁ、プラモデルだ!!』等もある)。


 今はネット配信のマンガも増えたし、読み手の感覚も変化している。自分もいずれ紙媒体にこだわれなくなるだろう(現時点で置き場が限界超えているし)。


 なんだけど、自分にとってのマンガというのはガキの頃の『うわぁ…!!』と変わってない。バカなんじゃなかろうか?(IQ的な意味で)というコトで『空手バカ一代』よろしく、今回も続きです。






第31話・高層建築物爆破~ついに……!!ついにゲンの元に大型ビルディングの爆破解体の依頼が舞い込みそうになる。喜ぶ面々!!しかし、土壇場でダイナメイション・インクというオーストラリア企業に任されることに。ガッカリする面々の中でゲンの様子がおかしい。実はそこの社長である、ジョージ富田とは因縁があったのだ。


所感~ライバル・ジョージ富田の登場!!ちなみにこの富田ですが、俺は大好きなキャラです。ゲンも認めているが彼は『とても優秀』である。この優秀の定義は様々だと思いますが、働いている社員はなかなか好待遇でモチベーションも高かろうと推測される。彼は『そういう会社に成長させるのが大好き』なのが重要だ。なので、爆破のクオリティも高いのも納得。


 爆破解体をあまりにもショーにより過ぎるのも反発があると思うが、これもスポンサー集めとかイメージ戦略の一環なので『目的に対しての手段』でしか無い。極端な話だと宇宙開発は莫大なコストがかかるために『軍に兵器として売り込む』という選択肢をどの科学者もためらったが、その選択肢を選んだ科学者が最終的にアポロを月まで飛ばしたのだから。


 ……でも、それでいいのかな?



第32話・高層建築物爆破(中編)~ゲンの口から語られる、ダイナメイション・インクの事故……。しかし、その事故はかえって社会的なイメージアップに繋がっていた。ゲンは語る『あの少年の失われた笑顔が忘れられない』と。そんな折、仕事依頼が来た。よりにもよって富田の爆破するビルの夜間警備であった。ぶーたれながら働く面々……その時、ゲンは異常に気づく。


『所感』~ガキの頃は『一人でも犠牲が出たらダメだ』と思っていたが、大人になるというのは『それは無理です』という諦めを受け入れるコトなのかもしれない。そして、富田のやっているコトは『むしろ立派』と見てもいいでしょう。10倍もの賠償金を支払う会社などなかなかなあるものではない。これを描かれた時期からすると『企業イメージ』というのがネットを通じて人々の評する時代にも突入していた。ネットによって一気に失速した会社も今では珍しくない。そういう部分を配慮できる富田は優秀だ。


 ただ、ゲンに対して『あの時のこと』というあたりに彼の人間性を見た。ああいう風にふるまっているけど、メッチャ反省しているみたいで、二度と『起こさせない』と心に誓っていると感じます。それは会社の利益のコトじゃなくて、人として。


第33話・高層建築物爆破(後編)~『このままでは爆破は失敗する!!』と気付いたゲンは富田に連絡を取るが相手にされない。ヒデも光も『自業自得だよ』『ならほっとけばいい』と言ったがゲンは一喝する

 『バカ野郎!!志(こころざし)の低いことを言うな!!』



『所感』~個人的にはトップクラスに好きなエピソードです。これもガキの頃ならヒデや光寄りな考え方だったのですが、今はゲンの考え方に憧れを感じる。仕事に対するプライドやかっこ良さとは何か?そういうものがこの回には集約されている。


 そして、そのゲンの行動が富田の考え方に変化をさせるコトができたのだ。言葉よりも行動……とはよく言われるが、この回の説得力はパネェ!!



第34話・夏バテ対策~慶子の後輩・鶴見が先に出世しまった。慶子はそういう人なのでもちろん喜んだが、同時に『自分のこれまでとこれからはこれでいいのか?』と悩む。それは光やトシが感づいて『どうやって元気だしたらいいのかな?』とゲンに持ちかけられるが……?


『所感』~この頃はウナギが割と気楽に食えたっぺえ。実はウナギは大好きなんですけど、最近の事情から5年以上食べてない気がする……。


 突っ走っている途中とハタと『俺って、これでいいのかな?』みたいな疑問って、誰もがブチ当たるときがあると思いますが、そういう時は『少しダラける』というのも手なんでしょう。何しろそうしないといけないぐらいに人生というのは長丁場なんだから。


第35話・みんなのゲンさん~慶子がノロノロしているのを幸いに後輩のチカチャンはゲンにアタックをかける。しかし、ゲンさんの調子にチカチャンはどんどんペースを乱されていく。


『所感』~楽しく朗らかに読めるエピソードで、メッセージ性を落とした回ですね。度々書いてますが、緩急をつけるというのはマンガで重要で、毎回こういう回だったら印象に残らないのですが、適度に入るからグゥなんです。マンガはメリハリ大事゛!!



第36話・公共工事~今回舞い込んだ仕事は公共工事だ。これで三友爆破株式会社も安泰だと、喜び会議に出席するも……?


『所感』~戒めとしている言葉に『その人の本質は自分より立場が下の者に対する振る舞い』というのがあって、今回のエピソードでそれを痛感する。『ああ、こんなのになりたくねぇな』と思えた自分に少し安心した。また、このエピソードでは『自分たちのやっているコトは誰の側に立っているか?』というのがあって、このマンガは常に『俺たち側の作品だぜ!!』と思わせるエピソードを用意してくる。



第37話・松茸狩り~かつて、イヌワシの生態系を探る学者・鳥丸氏から再び依頼だ。『整地をしてほしい』 と。鳥丸氏はこれを機に引退を考えていた。そんな帰り道、鳥丸氏のクルマは土砂崩れに巻き込まれ、ゲンたちは救助活動をおこなう。間に合うか!?



『所感』~そういえば俺、松茸食べたコトないんだぜ!!あれって本当に旨いの?ただ、天然モノの舞茸は食べたコトあって、なかなかに珍しい俺であつた。ちなみに栃木には『乳茸を食べる』という文化がある。参照→ 『ススメ!栃木部』


 鳥丸博士は本連載の第一話からの再登場で、この『全く持って学者』という感じが良い。最近、こういう人生が一番楽しいんじゃないだろうか?とうまらやしくも感じる。



第38話・ハワイ旅行~ロクは様子がおかしいので病院にかかると、そのコト自体は大したコトは無かったが、同時に脳腫瘍が発見される。幸いにして、そこまで危険なものでなかったが、やはりロクの気持ちは重くなる。頑ななロクであったが、ミッチャンの強い訴えに手術を決意する。


 ……周囲には『ハワイ旅行に行く』と偽って。


『所感』~仲間を裂きに行かせて、『そこに居るのは分かっているんだぜ。出ろよ』と追撃してきた敵と戦うのは男のロマンでしか無いが、ロクさんの『ハワイ旅行に行く』と周囲に心配をかけないようにする配慮もなかなか。ただ、これって『失敗して死んだ時』という覚悟も含まれているように思う。昔の書物なんで忘れたが、大昔のどこかのお笑い芸人(落語家だったか?)が『死んだら絶対に火葬にしろ!!』と遺言してて、言いつけに従って火葬にしたら隠し付けていた花火に次々引火したというのがあって、今思うとなかなかにパンチの効いたやり方だ。


 でも、大事な人には死んで欲しくないよね。それがまず第一です。


第39話・明日の天気~なかなか仕事が見つからない……というコトでしばらくゲンさんは足場と外壁塗装のお手伝い。帰路で光は電車に乗るも、周囲の視線が痛い。『最近、女性を意識してなかったなあ…』と反省し、一念発起して高級スーツを買おうと決意。昼飯代まで節約するコトに……。


『所感』~『解体屋ゲン』という作品は人情は挟むが、精神論は挟まない。『どうすれば良い仕事ができるのか?』とか『誰の為に仕事をするのか?』というコトは常に考えている。前回に続き『健康管理』という部分について描いているが、こういうのを描いてくれるのはありがたい。いまだに日本という国は『精神論』で達成しようとするクレイジーな国民性なのだから。


第40話・ヒデの借金返済?~サラ金分の借金返済が終了した、ヒデは『たまにはいいよな』と羽目を外す。しかし、誘い込まれたスナックにまんまとハメられて……?


『所感』~以前に『教養が無いというのは悲しい』というのを書いたけど、それは他ならぬ自分も感じているコトだから。謙遜でも卑下でもなく自分は教養が無い。教養が無いというのは悪意の食い物にされるけど、抵抗する手立てが無い……それが悲しいコトなんです。

 
 特に『真面目に借金返したんだから、今日ぐらいはいいよな』とささやかに楽しむし、飲みすぎたら『次回から気をつけよう』と素直に反省するあたりにヒデの人柄の良さを感じるんですが、そういう善人を食い物にするのが酷いよな……。まあ、絶望するにはまだまだ早い。俺たちの『解体屋ゲン』はそんな教養の無いヤツの味方なのだから。






 今回はここまで!!

 
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

メールはコチラまで
BQE01233(あっとまーく)nifty.ne.jp