大人の責任           松本豊『スメラギドレッサーズ』 - 豚か狼か

大人の責任           松本豊『スメラギドレッサーズ』

松本豊『スメラギドレッサーズ』       
03 /09 2016


 『そんなことをして責任とれるのか?』という言葉は俺にとっては理解不能であり、大嫌いなのである。これを読んでいる方もそれを言われたコトは一度や二度ではあるまい。もし、言われなかったとしたら、もっと自我をぶつけないと捕食されてしまう。


 そもそもこの言葉は『だいたいが無関係なヤツが強要してくる』のがイラァ……とする。俺にとっての『責任』というのは『強要されるものでなく、自らが背負うもの』という認識なのです。


 『ウルトラマンタロウ』の最終回だ。主人公・光太郎はタロウに変身できないが為に恩人である、白鳥船長を救えなかった。再び怪獣と対峙しタロウに変身し倒すのであるが、息子の健一は光太郎の言う。『ボクは悔しいんだ!!やっぱりあの時タロウが来てくれたら父さんは死なずにすんだんだ!!』という事実を突きつける。『キミは弱虫だ。これから父さんもタロウも頼ることなく生きていけるのかい?』と。言葉に詰まる健一少年に対して、光太郎は『自分はウルトラマンタロウだ』と告白し続ける。


 『だけどキミにだけ、そんな思いはさせない。ボクも一人の人間として生きてみせる。ウルトラバッヂ(変身道具)になんかもう頼ったりしない』


 と誓いを立て、人間の力だけで事件を解決し旅立って行く。


 世界平和の維持に努めるのが正義だとしたら、これはとんでもない行動なのかもしれない。光太郎自身には非は無く、そして何より世界平和からしたらたった一人の少年の今後など『構ってられない』のが本当のところなのだから。が、俺は今でも『責任』という言葉を聞いて正しさを感じるのは光太郎の選択なのだ。俺にとって責任というのは『自らが背負うもの』なんです。でないと意味を感じないんですよ。



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 さて、明日のチャンピオンで最終回となってしまう『スメラギドレッサーズ』ですが。おそらく今までチャンピオン作品を書いてきた中で、最も思い入れのある作品でしょう。もっと、読みたいのですが本当に残念です。


 で、改めて『どこが良かったかな~?』というの考えてましたが、やはり『ドラマの納得度』だと思います。評判の悪い初期の頃から『まるで自分に合わせたかのようにピッタリ』という感じのドラマ展開で、ここまで合致しているのが嬉しかったですね。


 やっぱり絵に関しては厳しくせざるえないけど(ここ最近は特に荒れているし)、ドラマというのは描き手の修練でどうにかならない領域もあるんで。そもそも松本先生は『キッカケさえあれば絵も絶対巧くなる』と感じているし。



 さて、今回のドラマと言えば『おばあちゃん登場』でしょう。『世の中には信頼できる大人もいる』とまず言ったのは『自らが責任を背負う』という意味だ。これを『私は信頼できる大人』と捉えてはいけない。『信頼できるかどうかはゆりかご自身が判断しなさい』という意味だ。


 そして、ここからのドラマも『誠実な大人』として描かれている。『これからもあんた達は苦しみ続けることを覚悟しなさい』と。ここで『かわいそう!!でもこれだけ苦しんだんだからあなたたちには幸せが待っているし、幸せになる権利がある!!』なんてヤツは近寄らないほうがいい。おばあちゃんは『世の中には信頼できない大人のがずっとずっと多い』というのは、『つまりはこういうリアクションするアホが多い』というコトでもある。


 その厳しい言葉の中におばあちゃんの優しさを感じずにはいられない。


 人というのは非力なんです。世界の為に必要な人間というのは一切存在しません。その人が居なくても、世界というのは通常運転しているものなのです。


 だからこそ『私はアナタを信頼して見てますよ』というのが心強くて、そして人ができるのはせいぜいそこまでなんですよね。



 それにしても『世界征服』という脅威に対して、『スメラギドレッサーズ』という作品は『そんなコトより大切なアナタ』というのが全くブレずにここまで来てくれました。俺にとって大事なのは『それをどこまで信じているか?』であって、結果ではありません。この作品はいつもその過程がとても惹かれた。こんなに感情移入できる作品が出てくれたのは嬉しいし、今後もこの作品に対する思い入れは薄れなさそうです。


 あと、一回!!どういう着地を見せるか楽しみにしてます。



 でも、ゲス山はオイシイところをかっさらっていくと思うな。ボカァ。


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勇者集結の最終回

古来巨大な敵に対して仲間が集まって終わる物語があります
アストロ球団は9人そろった所でおわりましたし
水滸伝などは集合後の物語をバッサリ捨てました
本当にもうすこし連載は欲しかったですが
かなでには仲間ができたのですから
『スメラギドレッサーズ』の終わり方は正しいのだと思います

アフリカ!!

  こんにちは。


> かなでには仲間ができたのですから
> 『スメラギドレッサーズ』の終わり方は正しいのだと思います


 まあ、『スメラギドレッサーズ終わった。チャンピオンしね』と流行りに乗ってチャンピオンを罵りたいのが本ねですが(酷ぇ)。


 ただ、ここに関してはちょっと思うトコロ……想像されるプロセス・深み等があるので、後日に記事に書きたいと思います。

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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