輝けるものたちへ          松本豊『スメラギドレッサーズ』 - 豚か狼か

輝けるものたちへ          松本豊『スメラギドレッサーズ』

松本豊『スメラギドレッサーズ』       
03 /13 2016


 『正しいなんていう議論じゃない、俺はその意志を正しいと信じたい』


 …というコトになるのだろう。


 世の中には多数の価値観がある。その中にあって『自分はこれを信じたい』とさせる……。そういう作品をいつでも待っている。そして、それを強く感じさせてくれた作品が『スメラギドレッサーズ』である。



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 残念ながら最終回を迎えてしまった『スメラギドレッサーズ』で、これを書いている今も『なぜだ?』と思っている。だが、その『なぜだ?』に関しても様々なデータから判断されたコトで、俺はそれを決める立場にない。せいぜいがココに書く程度で、個人というのはその程度までしかできない。



 だけど、自分にとっては『信じたい正しさ』を描いてくれたとても大切な作品で、個人であっても心に在る作品なんです。この記事を読まれている方は多分『スメラギドレッサーズ』のファンであると思うし、これからもそれを大事にしていただけたら嬉しいな…と感じてます。


 度々書いてますが、この作品は『本当に自分の好みに特化してくれたようなスペシャルな仕様』であった。こんなに肌に合う作品は本当に稀有であった。そもそもにさかのぼると過去に自分が『信じたい』と思った作品たちは全体的に見ると『そりゃないよ』という価値観で描かれているコトが多かったような気もする。ザックリ言ってしまえば俺は『世界の平和より目の前をアナタを助けたいと思ったから行動した』という考え方のが信じられるのであり、一般的に『そりゃないよ』となる。


 この『スメラギドレッサーズ』でのかなでの行動原理は『大事なアナタを助けたい』という一心が常に貫かれていた。時として、世界の敵であり、相手も拒絶しているというのに『でも助けたいから』という自我に忠実に動く姿に大変共感した。


 そして、この作品は『人の悪意』を積極的に描いた。これも自分からは『信じる』と言える要素であった。それを『変える』とか……まして『話せば分かる』なんてことでなく『それに負けない意志』というのを俺はとても信じたかったのだ。


 さて、打ち切り最終回であるのであらゆる要素が未消化にまま『俺たちの戦いはこれからだ!!』という王道エンドになった訳ですが、ちょっと気になる要素がある。


 ・時間が一気に二ヶ月とんだ

 ・決戦時に『世界てらす子さんがいない』


 …というコトだ。


 二ヶ月とんだコトに関しては『その間にイロイロありました。すいませんが想像してください』というコトなんだけど、この『二ヶ月』と明記したのに引っかかりを感じる。そして、最終決戦に世界てらす子がいない……というコト。これは『危険な戦いだから安全なトコロに避難させた』とも考えられるのだけど、あの松本豊先生なので意図を感じる。


 この二ヶ月間に、世界てらす子さんはこの世のものではなくなった


 ……と考えられはしないだろうか?だとしたら、かなでは『自身が戦う最大の動機』を失ったことになる。そして、スメラギアの前に立ちふさがったというコトは『再び立ち上がった』というコトで、描かれたかなでの目にはこれまで以上に強い意志を感じる。


 世界てらす子さんは『世界を照らす光になりたい』みたいなコトを願っていた。その意志をかなでが引継ぎ、世界を照らす光になろう…という決意があったのだろう。そして、それをできるのは『こうあるべき』という定義でなく『信じたい意思』だと思うんですよね。作品中では正義の光…とちょっと茶化したように言ってましたが、かなでの行動原理からすると『大切な人の願いは、たとえ死んだ人でも裏切れない』というのが在るんじゃないかと。そして、それを決意させるのはかなで同様に『輝いた意志を持つ友達』の気持ちであったのだろう。それはとても小さな光なのですが、それを諦めずに前を向いた者たちが獲得できる光なんですよね。


 この『空白の二ヶ月』は全くもって自分の想像なのであるが、やはりその『二ヶ月』のプロセスは読みたかった。この想像と異なるものである可能性はとても高いのであるが、『スメラギドレッサーズ』という作品はいつも自分の期待以上のものを描いてくれたのだから。


 この作品は終了しましたが、これからの松本豊先生の作品もまた『その輝きを信じたい』とさせる確信が在る。









 ……ところで、この作品は俺にとってはスペシャルな作品なのでこれからも機会があれば書き続けます。当ブログを昔から読まれている方はご存知かも知れませんが、俺は最高に諦めの悪いヤツなのだ。次は三巻出たら記事にするかんね!!


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コメント

非公開コメント

久しぶりにコメントします。

いつも楽しく拝見しています。
以前『実は私は』の記事に無記名でコメントした者ですが、今回は二度目のコメントです。

>世界てらす子さんがいない
正直に言うと、私は「戦闘に参加しないキャラが画面からフェードアウトする」といういつもの流れだと思って、気にしていなかったです。
むしろ「いない」ということでなら、鈴口と繁畑がいないことが気になりました。どこに行ったのでしょう? 漣二じゃない方の眼鏡や、VENUSの3匹の猫たちまで登場しているのに。
特に鈴口は意味深な台詞でドレスを受け取らなかったことがあり、絶対何かあるキャラだと思うので、忘れられているわけではないと思うのです。

>だとしたら、かなでは『自身が戦う最大の動機』を失ったことになる。
私は、それでもかなでなら大丈夫だと思います。
私がこの作品が好きな理由の一つは、「かなでという人物が信じられるから」というものですが、自ら「私の”ドレス”を取り戻す」「スメラギドレッサー”かなで”」と宣言した彼女なら、きっと最後は立ち上がってくれると信じられるので。

少し長くなりました。もうこれで終わります。
『スメラギドレッサーズ』は私にとっても特別な作品になりました。
それでは失礼いたします。

あれ?


 火曜日に予約投稿したつもりが、そのまま公開にしてしまった!!


> いつも楽しく拝見しています。
> 以前『実は私は』の記事に無記名でコメントした者ですが、今回は二度目のコメントです。



 左様でしたが、アチョーなマンガブログですが今後ともよろしくです。



> むしろ「いない」ということでなら、鈴口と繁畑がいないことが気になりました。どこに行ったのでしょう? 漣二じゃない方の眼鏡や、VENUSの3匹の猫たちまで登場しているのに。


 あのムカつくデブが居たのでちょっと嬉しかったです。ツンデレ(死語)なんかじゃないんだからね!!鈴口さんと古畑さんに関しては元々出番が少なかったし、情報を多くしてもまとまり悪くなるという意味で端折られたんじゃないでしょうか?なんか打ち切りも急ぽかったので。『スメラギアに対しての一般人の抵抗』というドラマとかは考えられていたと思います。見たかったです。



> 私は、それでもかなでなら大丈夫だと思います。
> 私がこの作品が好きな理由の一つは、「かなでという人物が信じられるから」というものですが、自ら「私の”ドレス”を取り戻す」「スメラギドレッサー”かなで”」と宣言した彼女なら、きっと最後は立ち上がってくれると信じられるので。


 そうなんですよね~。単純に自分はかなでというキャラが好きなんです。ただ、弱さと強さというのは表裏一体と思っているトコロがあって、みんなと遊園地に行くと決まったかなでのハシャぎように『弱さ』を感じました。その弱さがあるからこそ、強さに繋がる…と考えてます。


> 少し長くなりました。もうこれで終わります。
> 『スメラギドレッサーズ』は私にとっても特別な作品になりました。
> それでは失礼いたします。


 いやいや、まだまだ現在進行形ですよ!!記事にもしたように自分はとても諦めの悪い性格ですから!!『白銀ヴァンガード』の高橋良介先生もまだまだ待っているよ!!

毎週お疲れさまでした

毎週熱い記事を拝見させていただいておりました。
以前8・9話の際にコメントいたしました物です。

34話の終わりに美咲チャンらしき人影が出たあたりで、「もうダメなのか」と
心配していましたら、予感が的中してしまいました。たいへん残念です。

最終話は36話。丁度4巻分ですね。空白の2ヵ月を埋める書下ろしエピソードも
単行本のページ上、多分期待できそうもないので、各自で想像するしかありませんね。
クライマックスのコマにてらす子さんがいないのもたいそう気になりますけれど、
それも読者の想像に委ねられているのでしょうね。

個人的には、メガネを置いたゲス山さんの素顔と去就、鈴口さんのドレスを受け取れない理由、04ケンランと09ホシクズの行方…ああ気になるコトが多すぎて夜も寝れません。
とりあえず、4月、5月で4巻まで出ることは確認できてるので、少しでも伏線回収する加筆がされることを期待しています。

それでは、コミックスの感想も楽しみにしています。

ずっと読んでいただき


 ありがとうございます!!


> 毎週熱い記事を拝見させていただいておりました。
> 以前8・9話の際にコメントいたしました物です。


 え……熱い記事でしたか?だとしたら良かったです。下の『AIの遺電子』の記事にも書きましたが、ああいう感じに感情をコントロールしたのは書けないし、だけど熱い方向に届いているのか書いている本人にはサッパリ分からないので(ただ、アタマが弱いのだけは分かる)。


 今だからの話ですが、開始時期の『スメラギドレッサーズ』はあんまり評判良く無かったのですが、自分としてはどうしても信じたかったので書き続けて、こういうコメントが入ってとても嬉しかったです。



> 単行本のページ上、多分期待できそうもないので、各自で想像するしかありませんね。
> クライマックスのコマにてらす子さんがいないのもたいそう気になりますけれど、
> それも読者の想像に委ねられているのでしょうね。


 『俺の考えたスメラギ補完ストーリー』とか募ってみたいですね。例えば『アイドルが脱ぐ!!』というコトで美咲チャンがエロひどい目に遭うんですが、友情パワーで逆に目覚めて快感になってしまうエピソードとか(ねぇよ)。


> それでは、コミックスの感想も楽しみにしています。


 『好きな作品は終了しても忘れないで書く』というのは大事なコトだと考えてます。とりあえず、次は三巻ですね。


宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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