第二回・百本組手!!⑦        星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』 - 豚か狼か

第二回・百本組手!!⑦        星野茂樹・石井さだよし『解体屋ゲン』

週刊漫画TIMES
06 /22 2016

 自分が生きている間での最大のテクノロジーの恩恵は『ネット』だと考えてます。ひょっとしたらまだ人生の折り返しにも入ってないかもしれませんが、多分これを超えるものは出ないと思ってます。そのぐらいすごい道具だ。少なくともこうしてマンガ記事書いて、これを今読まれている方に届けるなんてコトはかなわない。『そこらにいるマンガ好きのオッサン』がこうして発表できるってスゴイな……。


 子供の頃の『マンガ』とか『テレビゲーム』というのは『なかなか手に出来ないもの』というのがあった。それが今では出版社が無料配信しているし、ゲームも無料を課金するのがシェアを増やしつつある。かなりの大盤振る舞いだ。


 が、その恩恵を『当たり前』としちゃいけない。


 自分はマンガがないと確実に絶命する人間なので、こうしてブログ記事を書いているのって『せめてもの感謝』というのがあって……まあ、勝手にやっているんだけどね。それがちょっとでもマンガに貢献できたら幸いです。


 




 無料アプリはコチラへ→ 『解体屋ゲン』
 





第159話・本当の悪人は誰!?(前編)~秀美が持ってきた解体の仕事はゲンたちにとって最高にやりがいのあるものであった。しかし、その解体中のビルがどうにもおかしい…!?いくらなんでも強度が無さ過ぎるのだ。


『所感』~これを描かれたのが例の姉歯物件という時期でタイムリーなのですが、この五年後ぐらいに『東日本大震災』が発生し、人々の認識は大きな転換期を迎えるコトになる。例えば街中ハイブリッドカーになったりとか。

 とりあえず、どの世界においても『安全性を犠牲にした正しさ』というのは存在しない。



第160話・本当の悪人は誰!?(後編)~このような物件があちこちにある限り、ちょっと大きい地震がきたら大惨事だ!!ゲンたちは責任の所在をハッキリさせる為に各地を行くももたらい回しされてしまう。


 ゲンの怒りが爆発する!!!!!!



『所感』~キーワードはたらい回しだ。


 他の国はどうだか知らないが、日本は責任をたらい回しにする傾向は明らかにあるだろう。これが描かれた数年後、ひと頃話題になったのが『救急車がたらい回しにされた挙句に患者死亡』というニュースがあった。


 ただ、この『たらい回し戦術』というのは腹立たしいことにやる側が圧倒的有利というのがあるから今も無くならない。これらをやる側というのは普通の人より社会的立場も収入もあるだろう。そういうものを持つ者は『それ相応の品格と責任』を自覚できないヤツはやっちゃダメだ。


 今回の鶴見くんがサワヤカにお仕置きに参加するあたりが笑える。この男、ゲンと共に様々な修羅場をくぐったせいか、いつの間にやら戦士(フェダーイン)として覚醒しておるぞよ。



第161話・営業停止!?~ゲンたちの行った『お仕置き』は結果30日間の営業停止に繋がる。このままでは経営が危ない。しかし、実はトシが……?



『所感』~もはやコントとしか思えないぐらいにこの頃のゲンはポリスメンのお世話になっていたんだな……(汗)。

 それにしても、人の命はどうでもいいと思っているヤツって自分のコトになるとどうしてもこうも必死なのか……?『分からねぇよ!!分かりたくもねぇ!!』というのはレーサー・ブリード加賀の名言だな。


第162話・二人の願い~光は慶子にけしかける


 ゲンさんとガンガンマシンガンセックスしなさい!!(そうは言ってないが、おおむねそんな感じ)


『所感』~この頃は『少子高齢化』というのが今ほど実感無かったのですが、結果『かなり詰んでます』というのが現実になってしまった。そもそもに子供を持つ世代にお金が回ってこないだの、労働環境が改善されないだのが放置されたからなんだけど。ここら辺はヨーロッパの福祉のがシッカリしている。諸問題を後手後手どころか見てみぬフリしたが為に日本は没落している。60代より上は『日本は経済大国』という認識はあるだろうけど、今の若者はそうは思って無いはず。このへだたりは大きい。



第163話・座礁クジラ(前編)~進路が決まったテルとミキオはサーフィンをしながら『だけど将来に出来ないよね』とうっすらな悲観をしていた。そんな折、親子クジラが座礁していたのを発見し、たまたま通りかかったゲンたちはお役所仕事のマニュアル偏重主義に苛立ちを感じる。


『所感』~昔は公務員というのは『給料安くて面白く無い』とされていたのですが、このあたりには『安定していてそれは贅沢ってもんだ』になっていた。今じゃ立派な高給取りだぜ~ッ!!このネタは今じゃ描けないのが頭痛が痛い!!


 そう、今の時代だったら『こんなんで給料もらっていいのかよ!!』と思うのが普通というコトで時代は確実に悪くなっているなあ。



第164話・座礁クジラ(後編)~『お前の正しさを信じて行動しろ!!』と少年たちを一喝したゲン!!彼等の救出作戦が始まるが、それだけでは心もとない。そんな時……?


『所感』~まず、『正しいと感じた行動を実行できたか?』というのが自分の中で重苦しく圧し掛かるコトなんですよね。『帰ってきたウルトラマン』(またかよ)とか『ワイルド7』の友情が犯罪なら喜んで犯罪者になってやる!!とかそういうの。悪いんだけど俺って、そういう時はガンガン破っていいと思ってます。だけど、そっちのが困難なんですよね。だから重く圧し掛かるんです。


 さて、お役所仕事…と思わせた前回ですが『本心では助けたいに決まってんじゃん』という流れにもってきたのは興味深い。思うに『人って、みんなが思うほど冷淡でも無いよ』というのがあって、だけど誰かが率先して行動しないと、その人は冷淡に逃げるような人になっちゃうんです。今回は親クジラは助けられなかったけど、次はもっと良くなるだろう。行動には意味がある。


第165話・古民家の秘密(前編)~デキる女・野島秀美が持ってきた仕事は古民家の解体であった。しかし、家主の祖母は猛烈に反対している。曰く『家守神のお宝』をハッキリ見つけないからにはダメだ…と。ロクさんの出番であった。


『所感』~『解体屋ゲン』という作品で意外に多いのがオカルトを絡めた話だったりする。ここら辺は星野先生自身が70年代のオカルトブーム直撃世代だからなのかもしんない。小学生に『ノストラダムスの大預言』とか絶望すぎるもんな……。これで自殺したヤツは結構いると思うぜ……。

 ただ、取材の流れでそういう現場のオカルトなども結構耳にしたのだろう。それが現在連載中の『ことなかれ』(作画・オガツカヅオ先生)に繋がっているのだろう。ちなみにオガツ先生の『りんたとさじ』もオススメです!!この記事書いてた時にまさか星野先生と組むなんて思わなかったなあ……。



第166話・古民家の秘密(後編)~これだと思った『家守神のお宝』は違うもので、話は振り出しになってしまった。果たしてゲンたちは見つけるコトができるのか?


『所感』~こんなトコロでおっぱじめようととするゲンさん&慶子って…


 エロゲーかよ!!


 さておいて。


 謎解きが面白いのと、太平洋戦争の事情に絡めたのと隕石から日本刀という中二設定がハイブリッドされた面白さがあって、『解体屋ゲン』の中でもいささか異質な味わいがある回に仕上がっております。

 オリンピックにて日本女子トラック競技で唯一メダルを獲ったのが人見絹枝の800メートルで銀だけらしいのですが、それすら材料にしてしまうという感覚は今からすれば狂っている。その時勢を鑑みれば、隠すのも分かるな~。


第167話・ゲンの思いやり~慶子は有華・秀美を自宅に招くことにした。光は『とんでもない住まいよ~』と悪印象を植え付けているのだが……?


『所感』~お金がないなら、今できる最善をしよう!!

 ……というのが『解体屋ゲン』でしばしば見る光景ですが、これはその代表格と言ってもいいでしょう。


 久々に出番と思ったゴンが、まさか『トムとジェリー』のようなトラップで即退散するコトになるとは…。




第168話・温泉騒動(前編)~営業停止処分中に下見した廃養鶏所を手がけることにするも、持ち主である神野と衝突してしまう。打ち解けて話を聞くと『これまでの不運から従業員を大事にしたい』という想いの現われであり立派な志を持った人物だとゲンたちは理解する。果たして起死回生の温泉発掘はなるのか?


『所感』~神野氏みたいな社長の下で働きてぇな……と不覚にも思ってしまった俺であつた。

 それにしても『ライブドアショック』と実名出るとは思わなかった。ちょうどその時期、クルマをライブドア系列に売却したけど、直後に店舗名が変わってビックリしたな~。


第169話・温泉騒動(後編)~温泉は100パーセント出る!!しかし、それだけでは問題をクリアできない。その問題をクリアするのは『詰まるトコロは運次第』という……神野氏は決断し、ゴーサインを出す!!


『所感』~運任せ……なんですが、ここで注目したいのは『運じゃない部分はできるまで詰め寄る』というコト。可能な限りダメージを減らし、確率を上げる方法をゲンたちはとっている。これって大事なコトで、追い詰められた時こそバクチは極力避けよう…というコトでもあるんだけど、そういう時ってアタマが回らないんですよね。



第170話・顔役(前編)~さて、養鶏場の解体となりましたが、人手が足らない。仕方が無いのでゴンのツテで人員を入れるも怪しさ大爆発なダイナマイト人員であつた……。


『所感』~冒頭のカブなんですが、キレイに描かれていて結構嬉しかったり。だいたいのマンガにおいてバイクというのはかなりテキトーに描かれ、さらにカブのようなビジネスモデルは本当にいい加減だから。キックスタートしている描写もグゥ!!


 さて、ゴンの紹介というコトでやっぱりダメだったか…という気持ちで満たされる。どうなる次回?



第171話・顔役(後編)~ゲンたちはハメられた!!一旦はゲンの立ち回りで追い払うも、これからが面倒になる。ロクのツテで仲介を紹介してもらうが……?


『所感』~カブの修理が大きくなって帰ってきました…というコトでイイ感じの人情ストーリーなんですが、これはやっぱり『解体屋ゲン』でハメた職人の方にも相応の動機はあるというコト。

 
 真面目に働いているのにいつまで経っても低収入で安定しない……という社会問題でもある。銭ゲバというのも困るが、良い世の中というのは結局は全体的に潤ってないとダメというコト。腐ったミカンは周りのミカンも腐らせる……いや、これは本当なんだよね。




第172話・妊娠発覚!?~慶子は生理が遅れていたので『ひょっとして待望の妊娠…?』と光に話してしまった。光がつい口を滑らせてしまったことから、話が伝播したものの『でも、やっぱり妊娠してなかったみたい』というコトになり周囲は大わらわになりますが……?


『所感』~妊娠騒動回(そんなカテゴリ分けってあるのか?)ですが、締めで『ウチは大家族みたいなもんだから…』というセリフがキモな気がする。これが、ゲンと慶子の間だけの妊娠とは訳が違うんですよね。

 子供の数は目に見えて明らかに減っている。これは激減というぐらいに。激減したら次もさらに大激減が待っているのは当然だったりするが、長い年月をかけてこのような事態になったのだから、これを持ち直すのは絶望的だろう。

 収入とか労働環境もあるんですが、今回のエピソードでは『家族のような付き合いのある人々』というのも重要な要素だと感じます。


第173話・曳き家の技術(前編)~ロクがギックリ腰になり『そろそろ引退して、誰かに技術を継承するか…』と思ったものの、後継者は不在のままであった。一方、ゲンの次の仕事は鉄橋の撤去であるが『エコという美辞麗句を理由にコストのかかるリサイクルに意味はあるのか?』と葛藤する。


『所感』~ガキの頃観た『ムーミン』で日時計をムーミンが作ったのをバカにされて怒りにまかせてバカスカ叩き割るエピソードがあったなあ(いつものムーミンからは考えられないぐらい気性が激しいのでよく覚えている)。で、ムーミンパパが『この最後の一個はとっておきないさい』と諭し、結局それがみんなを救うコトになるんですが。


 それ以降、俺は古い技術・道具で危機を打破する展開が大好物になってしまった!!そう、俺はバカなのだ!!


 なので、このエピソードもハアハアしながら読んでます。そう、ナニをセルフピストンさせている『殺し屋イチ』のように!!そう、俺はバカなのだ!!



第174話・曳き家の技術(中編)~ゲンは鉄橋をロクの持つ曳きの技術に託した。大がかりな移動を見て息を飲む面々!!しかし、トラブルが発生した!!


『所感』~マンガのジレンマとして『説明シーン』というのがある。過去にチャンピオンで趣味性の高いマンガがあって、その作者は大ヒット作品を持つ、大ベテランでしたが対象への熱意が先走って、説明シーンばかりでリズムが著しく悪かった。マンガは難しい。


 この回は丸々『曳きの技術の説明』に充てられているのですが、面白く読めるのは『ネームがスゴイ』と思います。



第174話・曳き家の技術(後編)~橋桁の傾きをなんとかする為に、ロクは痛む腰に鞭打ってジャッキアップする。その姿にヒデは何かを感じ始めていた。



『所感』~いきなりだが1973年の特撮『ジャンボーグA』で『ジャンボーグAとジャンボーグ9を処刑せよ』というエピソードがあって、30分丸々バトルシーンに費やしている回がある。単純構成。で、Aと9が敗北し、人々が絶望になって、終了三分で逆転勝利するというのがあって大変勉強になる。少なくとも20回は観てると思う!!


 主人公の反撃からの勝利は手短に


 ……実はコレ、他ならぬ『解体屋ゲン』でも得意とする演出だ。顕著なのはやはり『最大の仕事(やま)』編だろう。正直、『これ、あと一話で終わるの?』と思ってたのよよよよよ……。しかも、キツキツ詰め込んだ感じもなく、キッチリ締めているんですよね。


 今回の『曳きの技術』編もあらゆる要素をこの一回にまとめていて見事!!


 ロクさんの曳きじゃないけど、『反撃は手短に』というのはむしろ古い演出技術なんですよね。最近のマンガはここら辺で見事なのがかなり少なく、悪く言えば全体的にダラダラとして緊張感に欠ける。古い技術こそ学ぶトコロも多いんですよ。






 今回はここまで!!


スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

メールはコチラまで
BQE01233(あっとまーく)nifty.ne.jp