期待値          相崎うたう『どうして私が美術科に!?』 - 豚か狼か

期待値          相崎うたう『どうして私が美術科に!?』

まんがきらら系
11 /08 2016



 マンガ家によるマンガ解説本なんかがあって、いわゆる『マンガ家マンガ』なんかもそうだ。


 そして、意外にも さいとうたかを先生も書いてたりして『さいとうたかをのコーヒーブレイク』がオススメであったが、今確認したらプレミアがついてた(汗)。あれ…?古本屋のオヤジにオススメされて300円ぐらいだったような…。電子化とかしてくんないかな~。


 さておいて。


 その興味深い内容の数々の中で『物語のパターンは出尽くしている』というのをさいとう先生は指摘している。自分もそう思う。だから、マンガ家マンガの中で主人公が『誰も見たこと無いようなマンガを描いてやる!!』と目を輝かせて言いますが、既知感の無い作品は無理だ…というコト。


 しかし、さいとう先生は付け加えて『だからアレンジが必要だ』と言っているし、また別の項目では『個性というのは小手先の表現でなく、己が滲み出るもの』とも言っている。自分もそう思う。



 
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 さて、今回は急上昇の 相崎うたう先生の『どうして私が美術科へ!?』です。前回の記事は コチラに。



 これはもうマンガブログやってるヤツの特権だと思うのですが、応援している作品が人気作になっている過程を見るのはワクワクします。きらら誌で言うと『きんいろモザイク』がそれに当たるんですが、こういう気持ちを再び感じさせてくれる、きらら作品が個人的に二つある。ひとつは伊藤いづも先生の『まちカドまぞく』で、もう一つはこの『どうして私が美術科へ?』だ。


 『まちカドまぞく』は構成がきららフォーマットとかなり違う冒険をしていて、自分はそこが面白いと感じている。そして『どうして私が美術科へ?』は実はきららフォーマットを違えないというのが面白いと感じてます。



 マンガって面白いな~って思うのが、400字詰め原稿用紙一枚にあらすじまとめると、どんな名作も『大して面白く無さそう』なんです。例えば『ドラゴンボール』だって、『強い敵が現われる→修行→土壇場でパワーアップ→勝利するも新たな強い敵』のエンドレス展開なんです。だから『マンガは絵は描けないけど、ストーリーは考えられる』とか言っちゃう人って、そんな感じにマンガはチョロイとか思っているんじゃないかと。だから、マンガは面白いって思うんですけどね。


 これを読まれている方も『きらら系を研究してデビューしたい』というマンガ家志望の方が居るかもしんないけど、きららフォーマットそのものはかなり明確化されている。だけど、そんなにイージーじゃないと思いますよ…としか言いようが無い。



 マンガって己の持っている要素を総動員するもので、そこから初めて『滲み出る個性』が読者に伝わるんじゃないかと。



 この『どうして私が美術科に!?』が急上昇しているかと言えば、やっぱり『持っている』んですよね。『原稿用紙一枚のあらすじ』を超越した『滲み出る個性』というのを。それは相崎先生の本気(マジ)が成立させている。



 相崎先生の作品で顕著に感じるのが、セリフ回しです。もちろんテクニックという意味合いもあるんですが、『キャラクターに生を与えたい』という願いにもにた想いが凡百の作品とは明らかに違う。特に気に入っているシーンを例に出すと、すいにゃん先輩が黄奈子を先輩と呼ぶようになるのは嫌だと転げまわるシーンだ。ここで桃音が『そんな えっ!? そんなに!?』というセリフになってますが、これが『そんなに!?』だとここまで面白くならないんですよね。そして、この記事の解説もまた『そんなに面白そうには思えない』なんです。


 この面白さは『手にした読者のみが理解できる』というコトで、相崎先生はそれを深く理解している。それが違いであり、それが滲み出る個性に繋がっているんです。読者に意識がすごく向かっている。マンガ家ってそういうアタマの悪さがミッチリな人種なんです。こんなメンタリティ、社会人には邪魔なだけだぜッ!!そして、そういうマンガが自分はメチャ好きなんだよな~。


 『それは良いんじゃなくて、アナタが好きなだけだろ』


 …というのが『否定の常套句』なんですが、マンガというのは個々の好きの積み重ねが決定するのが良い。この作品への期待値は高まるばかり、そんな個々の想いがいずれ結果に繋がる。そう思わせる作品です。自分はその『否定の常套句』を否定したくて好きなマンガ記事書いている。






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宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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