知識もまた道具      尾々根正・大鳥居明楽『靴理人』 - 豚か狼か

知識もまた道具      尾々根正・大鳥居明楽『靴理人』

週刊漫画TIMES
08 /13 2017
『乗っているものが高価で素晴らしいものであっても、それでアナタ自身が偉くなったり能力が上がる訳ではありません。むしろそれに相応しい品格が求められるのです』



 …みたいな言葉をとあるマンガのあとがきに書かれていて、俺は衝撃を受けた。『そうだ、確かにそうだ。道具は道具であってそれを所持しているだけで人間性が向上するとか威張っていいなんて貧しい考えなんだ』と感じた。それは古典『ドラえもん』でさんざん描かれていたコトでもある。のび太は大抵失敗するが、たまに正しさを感じる意志を乗っけて道具を使う。



 そして、これは個人的に感じているコトなんですが『知識もまた道具』というコト。知識によって良い学校に就いたりするコトはできますが、それによって人間性そのものの向上とイコールにならないし、それを多く持っているコトによって少ない者を害する理由にならない。


 道具を如何に使うか?


 これこそが品格であろう。道具を使うのは人間ならでは。そして、品格を求められるのも人間ならでは。道具の使い方に品格が無いのは動物的ではなかろうか?



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 さて、今回は 尾々根正&大鳥居明楽先生の『靴理人』(シューリニン)です。


 フォーマットとしては『その人の履いている靴を見て、どのようなものを抱えているかを見抜く凄腕の靴修理人・尚木翔良(なおきしょうすけ)が修理を通じて綴られる一話完結方式のドラマです。全三巻という読みやすいボリュームでもあるし、この手のマンガは『たまに読み返したい』という面白さもあります。



 このマンガを読んで痛感するのが『知識を如何に使うか?』なんですよね。実際、このマンガを読むと靴に対する知識や感心が深まる。俺も『靴 減り方』でググッたし。確かに『ウンチクのつのるマンガ』というのは世に多く出ている。が、これを読まれている方も経験あると思うけど『つまらない』となった作品もあるだろう。学校の授業が基本つまらないように(そもそも学校は集団の中での振る舞い訓練が目的だし)。 


 このマンガは知識の使い方に品格を感じる


 …というコト。ここで描かれている『ウンチク』は、あくまで『人間ドラマを描くための道具』というコトだ。ウンチクを語り、相手にマウント取るのが目的では無いというコト。この手のマンガで『つまらない』というのはだいたいが『知識が目的』としての道具になっているんですよね。



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 また、作画の尾々根先生のテクニックは素晴らしいものがあって、特に感心したのがこのキャラかな?いわゆる『ストーカー気質のキ〇ガイ』で、こういうキャラってやたら幼児性の強調された描かれ方をして、オーバーアクション気味なんですが、その静かな佇まいが『逆にヤバい』と。自分のやっているコトに対して『無自覚』なのが狂っているなあ…と。目の描き方のサジ加減が絶妙なんですよね。



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 あと、悪役なんですが島耕作似というのに輝かしい悪意しか感じ無い。念の為、大絶賛の意味で。そもそも赤潮出版というのもたいそうヤバいなあ……。絶対、関わったらダメでしょ。


 そこはかとなく『いかにもマンガ的な面白さ』が濃縮されている(スキャン能力とかキメゼリフ)のも、この作品の魅力でしょう。ただ、それはドラマがシッカリ描かれている故の安定感なんです。





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宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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