静かなる自分本位             沖田龍児『ヤバい女に恋した僕の結末』 - 豚か狼か
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静かなる自分本位             沖田龍児『ヤバい女に恋した僕の結末』

週刊漫画TIMES
08 /19 2018



 生まれ変わり…というオカルトじみた話は信じないが、仮に『システムとして存在する』と考えると面白い。


 やはり人間はこの地球上でトップクラスの存在であるのは疑いも無い。俺が犬猫であれば『是非とも来期は人間になりたい』と目指すだろう。で、人間であっても徳が低いと来期は降格する…というシステムも納得いくものがある。



 が、たまに居ませんか?『コイツ、人間の入れ物を得てしまったけど、中身は虫なんじゃねーの?』と言いたくなるようなヤツ。確かに知能・生活への適応は人間のそれなんだけど、本質が虫みたいなヤツ。俺、ジョジョ第三部の『悪の定義』に大変な感銘を受けてます。『悪とは自分の利益の為だけに平気で弱者を踏みにじれるヤツ』って言葉に。それが息するように当たり前で、普段は目立たないんだけど『静かなる自分本位』な人は一定数存在するように感じてます。



 人間の定義って『協力して生きる。ズルして自分だけ利益を占めようとするのに言いようの無い不快感を感じる』と思っているので『なぜ殺人はいけないのか?』と問われれば『殺人そのものが人間を否定する考え方。やったら人間の定義から外れる』と考えてます(戦争等の生命の危機に対しては別として)。しかし、真顔で『殺人はなぜいけない?』と思っているヤツも居るのだ。




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 さて、電子書籍で一巻の発売となりました 沖田龍児先生の『ヤバい女に恋した僕の結末』が掲載誌・週刊漫画TIMESでは取り返しのつかないステージまで突入してしまいました。もう『パスタでボ~ノ!!』と叫んでも無理っスよって、感じなトコロまで。



 この物語は 冴えないホラー小説家・森岡護が橘叶奏という『災害』に巻き込まれる話である。



 そう、このマンガはタイトルにもなっている『ヤバい女』である叶奏というキャラクターがメキメキ立っているのが面白くしている。コイツは災害であり、本質が虫のような魂の持ち主である。虫にはそもそも善悪という概念が無い。無いが故に機械的に淡々と物事をこなせる。ハッキリ言ってしまえば『こういう方が生き物として優秀』というのも疑いないし、事実会社みたいな組織は『虫人間のが出世しやすい』というコトなのだ。



 『絶対にバレないからアイツを殺せ。殺したら何でも望みを叶えてやる』



 …と悪魔が囁いたら、大抵の人間は対象に強い憎しみでも無い限り『できない』のです。ところが虫人間はできる。『え?なんで?』と言う感じで。喉が渇いたから水を飲む……ぐらいの感覚で。重ねて『そういう人間は一定数日常の中に居る』というコト。




 そういう『静かなる自分本位の存在』の恐ろしさを描いたのが本作の魅力と言える。これは他人事ではない。十分ありえる世界の話なのでもある。無事に日常を送るためには『虫人間には関わらない』という教訓たる作品であり、これはますます加速する予感がヒリヒリと漂っている。




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宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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