週刊少年チャンピオン - 豚か狼か

シンプルな作戦、シンプルな魅力

週刊少年チャンピオン
02 /12 2018



 望月三起也先生のは『秘密探偵JA』というアクションマンガがあって、これもまた結構なヒットになったが、自ら連載を終了させてしまう。『主人公が真面目で魅力が薄い…』という理由らしい。そして『ワイルド7』が生まれる訳であるが、主人公・飛葉をはじめとしたメンバーは全員が死刑一歩手前の犯罪者!!

 
 そんな感じなんで、初仕事も『退治じゃなくて逮捕でしょ?』と聞いた犯人をショットガンでアタマをスッ飛ばしてこうやってやるから退治ってんだよ!!とブッ殺してたりする。『ワイルド7』は一事が万事そんな感じの作品なのだ。


 が、『ワイルド7』で必ず守られていたコトがある。『何があっても仲間は必ず助ける』という信義だ。これはマンガの中でもシンプルなルール&テクニックで、乱暴な言い方をすれば『これさえ守られていれば大丈夫!!』なんです。マンガの云々の語りを見渡してみても、これって案外意識されてない?




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 今回はマックス君の『総司令としての魅力はあるか?』なんですが、『仲間は絶対』という価値観が提示されてました。



 マンガのキャラはイロイロなキャラ付けがされますが、この『仲間は絶対助ける』は本当に万能です。応用としては『仲間すらも平気で裏切る悪役』にすると、読者にヘイトが集まって主人公に肩入れしやすくなる。が、ここ一番で『その悪役は唯一人愛するヒロインだれけはなんとしても守り通した』ってなると読者も『案外イイ奴だったのかも…?』ってなるんですよね。



 マンガのキャラの魅力に悩んだ時は『これがシンプルに使える』という気がします。



 今回の『GREAT OLD』はマックス君のシンプル作戦も良かったけど、シンプルな魅力を描いた回でもあるんです。




面白い…?            森田将文『出陣★昆虫武将チョウソカベ』

週刊少年チャンピオン
02 /11 2018


 面白い作品は黙ってても売れる。面白さに比例して売れる。



 …という考え方がありますが『そうかなあ?』と思うし『それはあまりにも浅薄な考え方じゃないかな?』とも思います。『なぜこんなマンガが載ったのだ…?』と感じるコトも少なくないのですが、雑誌に載っている作品は基本的に高いレベルにある。ほぼ全てのマンガは面白いと感じてます。


 が、俺もカラダは一つなんで意識できる作品も絞られる。マンガが好きな自分ですらこんな感じなのだから、フツーにマンガを読んでいる方には『読むキッカケ』というのが重要になってくると思うのです。読んでもらう…という状態にもっていくコト。面白いマンガが黙ってても売れるなら宣伝というものの一切が必要なくなる。読ませる工夫ってのが必要で、ここら辺はマンガ家さんより編集部や販売店舗の努力になってくるのですが。


 ただ、この記事を読まれている方にも経験はあると思いますが今まで読んでなかった作品が『あれ…?面白いんじゃないのか?』と感じて場合によっては単行本一巻から読み始めてしまう…というのもある。嫌いだったマンガが急に愛おしくなるとか。『アイツ、最低よ!!と思っていたら、雨に濡れた捨て犬を拾ったのを目撃してしまった少女マンガのヒロイン』のようにキュン…となってしまうコト。



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 自分にとっての『チョウソカベ』がそんな感じ。


 最初は『それなりに面白いかな~』みたいに思っていたのですが、ここ一カ月ぐらい気になってきて、今週は新章突入というのもあって『面白い展開になってきたから個別書きたいな~』って思えるようになってきた。



 これも『マンガの自由さ』って自分は思ってます。こういうのがあるからマンガは良い。そして、こういうのって単行本派だと無いんですよね…。マンガの環境も今はイロイロと分岐点に入ってますが、紙雑誌媒体ってのはやっぱりいいな~。


 こうね、ページをパラパラとめくったりしていると『たまに気になるカットが入ってくる』んですよね。今回だと『開田さん』みたいに。で、思わず手を止めて読んじゃう。普段読まなかった作品でも。『スメラギドレッサーズ』も開始当初はかんばしくなかった気がしますが、八話の見開きをキッカケに転んだ方も多いように感じてます。



 マンガって逆転もあるんですよね。


 
 ちょっと出遅れましたが『チョウソカベ』はこれから楽しく読みたいと思います。




黒髪ロング+メガネ+美人            木々津克久『開田さんの怪談』

週刊少年チャンピオン
02 /11 2018


 いいですか?世の中のほぼ全ての男、と断言してもいいコトなのです。


 世の中ほぼ全ての男は『黒髪ロング+メガネ+美人』が好きなのです。思春期の男の子はカラダの自由を奪われて犯されたいという妄想をほぼ全てがシテいます。


 理不尽にブン殴られるのは普通にアタマにきますが、理不尽に黒髪ロング+メガネ+美人にもてあそばれたいのです。上の口では拒否っているけど、下のオチンチンは正直なのです。なのです。




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 これはこれでいいな~



 …と思ってしまった勇チャンはダメなのでしょうか?とりあえず、勇チャンはドMなので、むしろ大歓迎です。コチラがハアハアしながら鼻血出してしまいそうです。


 話の真偽…というのは重要では無いんですよ。


 彼女のようなキモオタの願望を凝縮させたような美人がこんな冴えない男のタメに下準備を念入りにやって攻撃してくる…というコトに欲情するんです。



 これはこれでドMでキモオタの願望を描いているという気がします。


キャラクターの描き方           西修『魔入りました!入間くん』

週刊少年チャンピオン
02 /11 2018

 『ガールズ&パンツァー』と『艦これ』なんですけど、どちらも女の子を前面に推している作品なんですけど、何はともあれ人気が継続している…というのはスゴイ。


 オタクなどシーズンごとに嫁が変わる俗物であるし、事実『人気出たな~』と思った作品が気が付いたら忘れ去られているのが常なのだ。


 作品そのものが優れているとか、スタッフの努力とかありますが、その中の一要素として『ちょっと野暮ったい』というのあると思うんですよね。実は『艦これ』も『ガルパン』も第一印象が『ちょっと野暮ったいキャラデザインだな』と感じたコト。そして最近では『それは良い感じ方だ』と思っている。キレイに整いすぎたキャラデザインってなんだか長続きしないような気がするし、『野暮ったい』が好まれるんじゃないかな~と。



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 たびたび書いてますが『入間くん』のヒロインってちょっと野暮ったいんですよね。洗練された最新鋭の絵……スマホゲームヒロインみたいなのが無い。が、だからこそこの作品は良いってなっちゃってます。


 仏像作って魂入れず


 …って言葉がありますが、キャラクターというのはその中身が一緒ならば、入れ物がちょっと野暮ったいぐらいが丁度イイのかもしれません。



 それにしてもクララの方はゲームバトラ行きか~。そもそもが『入間は対等に遊んでくれる』というのがクララとしての理由になっているんですが、ここではそれが手に入ってしまっているんですよね。展開としては『入間の元に戻る』を選択するわけなんだけど、ここで一つ面白いエピソードが入るコトになりそうです。



ギブミーチョコレート!!          安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』

週刊少年チャンピオン
02 /10 2018


 だから私は『艦これ』に逃げた。『艦これ』の世界に逃げ、ステキな艦娘たちからたくさんチョコレートをもらえるからだ!!だが、それは間違いだった…。存在しないのだ。



 …とまあ、それでもゲームイベントは面白いものでして、キャラクターによってアプローチが異なる。高雄はかなり気合いれて念入りな手順を踏んでいるんですよね。それを妹の愛宕が微笑ましく見守っていたり。あんまり人気無いみたいなんですが、衣笠も自分は好きで、この場面ではテレながらもド直球できます。


 マンガのキャラも同様で、ヒロインを引き立たせるのにバレンタインというのは見逃せないイベントになります。




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 あ~。わかる。



 大祐にチョコを渡すシーンですが、これまでの読者はそう感じたでしょう。これはキャラがブレずにここまでキチンと連載できた…という意味でもあるんです。


 まず、最初に鈴が渡しますが、これができないと『ことね先輩の千晶も渡せない』というのがあるんですよね。鈴のそれは『挨拶みたいなもん』という感じなんですが、実は『このコはこの状態にするのがそももそ難しい』というコト。しっかり妹の分も用意されているのも『たんなる友達』という感じですね…。細かいコトで多分『作画のミス』なんですけど、片方のリボンがナナメっているのはイロイロと想像をかきたてられます。


 千晶は目を泳がせているのが初々しくて良い。三人とも異性の友達にあげるのは初めてなんかもしれませんが、意外と気が小さい千晶先輩ならでは。



 ことね先輩の気後れはあるものの『お姉さん風』がそこはかとなく吹いていたり。



 三人とも既製品っぽいんですが、高浜さんは『なんだか手作りっぺえ』ところにヘヴィな何かを感じます。やっぱり、この人は悪い男に利用されそうなんだよな~。仕事がバリバリできて高給取りなんだけど、それがヒモの養育費とパチンコ代に消えていく…みたいな。





ナレーション             佐藤タカヒロ『鮫島、最後の十五日』

週刊少年チャンピオン
02 /09 2018


 マンガに限らずナレーションは『説明』になるので良し悪しはある。マンガというのは『読ませる技術』だと思う自分にとって懇切丁寧に説明されるのは何か違うと感じるし、なるべくそういうの無しで理解させてくれ…って感じてます。



 が、ナレーションも技術なんだな~と痛感した作品が古谷野孝雄先生の『エンジェルボイス』ですね。このマンガ、絶妙なタイミングでナレーションが入って作品への想像力を増幅させるのよね…。


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 さて、今回の『鮫島』はビックリしました!!



 普段からナレーションは入らないのに今回は入れまくり!!もともと相撲シーンも説明セリフ入れずに描写力で勝負の作品においてね逆に印象に残る。そもそも対戦相手の王虎は『バチバチシリーズ』でも最高のライバルであったし特別なんですよね。



 しかし、この手法をここまで温存しきった…ってのがビックリなんですよね。まだ取組は残っているのに、波乱の予感しかしない。


学校側の視点              小沢としお『Gメン』

週刊少年チャンピオン
02 /09 2018


 俺の場合ですと体罰推進世代なんて、『バカなガキはビンタの二・三発でもくらわせて黙らせろ』って感じのが馴染むんですが、最近はそうもいかない。どういう訳か『要求してきやがる』のだ。こういうのに合わせるとロクなコトにならないし、現在進行形でロクなコトになってない。学校に関しては楽しい思い出というのが特に無い(ホントに)のであるが、そもそも学校というのはそういうものなのだ。『世の中は理不尽である』というのを理解させる場所なのだ。


 このまま要求がエスカレートするならば、学校側も武装するだろう。あちこちに監視カメラは付くだろうし、入学前に誓約書を書かされて、それに違反した場合のペナルティも決まるし、ポイント制で免停的なコトもあるかもしれない。そういう風なコトを求めたのだから、そうなるのだ。それを受け入れられないのは単に幼稚なだけなのです。



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 敵が攻めてきた!!応戦した!勝利した!!


…で終わらないのが小沢としお先生だな~と感じます。過去作の『ナンバ・デッドエンド』でも学校を荒らしたヤツ等(当然、会話を理解できるような人種では無い)を叩きのめしたら、学校から叩き出されたという『理不尽』が描かれてました。学校を守ったのに、その学校から追放される…いや、現実的に考えたら『当然』なんです。


 学校側の視点でみたら『当然』なんです。小沢先生はそれを描く。『ガキ教室』なるティーチャーものも描いていた経緯もあるだろう。それを認めていたら『学校が維持できなくなる』というコト。そうなると他の生徒にも迷惑がかかる。それを防ぐのが『学校のとるべく行動』なのだから。



 そして、今回ここを注目したいのだけど『当の勝太たちもそうなるわな…』と感じていた上で『自分たちの理由』を感情的にならずに語っていた。これって結構大人な考え方かな~と感じます。彼等は学校というものが『どういうものか分かっている』んですよね。これはね、あんまりにも順調な人には理解できないコトで『正義を示せば解決する』って考え方に至ってしまう幼稚さなんです。



 世の中は理不尽なもの



 …その当たり前が認識できない方が増えている今でこそ、小沢先生の視点は光っている。ビンタの二・三発もね『それで後腐れなく丸く収める』って知恵の側面でもあるのです。同意はしなくてもいいけど、そうやって理不尽に対応してた知恵なんですよね。



 なんて書くと『アイツは体罰賛同派だ!!』なんて思っちゃう方も居ますが、理不尽を知らないのは幸いとも言えます。




 

これはマンガだ!!        石黒正数『木曜日のフルット』

週刊少年チャンピオン
02 /08 2018


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 その判断が難しい…という感じなんですが、作中で『これはマンガだ!!』とやっちゃう表現は結構すきです。こういうのは80年代のマンガに多かったかな?作者登場とか。


 若い読者はピンと来ないかもしれませんが、今に続く『ドラゴンボール』の鳥山明先生のもう一つの世界を変えるレベルのヒット作『アラレちゃん』では作者登場は通常運転だったしね~。さすがに今は無理だと思いますが。


 ただ、先にも書いたように作品次第ですね。来週最終回の『囚人リク』に瀬口先生登場とかあったらマシでアタマ抱えるし。


変化               板垣巴留『ビースターズ』

週刊少年チャンピオン
02 /06 2018

 ガンダムとかウルトラマンのデザインとかスペックなんですが、こういう長寿シリーズになると『強さ』というのを分かりやすく示すのが難しい。


 ウルトラマンは初代・セブン・帰ってきたあたりまではだいたい同スペックなんですが、以降は飛行速度とか身長とか分かりやすく増えてたりする。ガンダムもまた出力とか身長とかが微妙に増えたり落ち着いたり、逆に減ってみたりするけど、背中にいっぱい背負ってみたりトゲが増えたりする。



 見た目に分かりやすくするために。


 
 パワーアップの描き方というのはインフレを起こすとスパイラルにはまってエスカレートしか道が残らなかったりする。




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 技巧派パワーアップ



 …と勝手に呼んでいるが、今回の『ビースターズ』で提示されたのがそれだ。やはりマンガの歴史は偉大でこれに関しては多くのマンガ家さんが工夫をこらしている。



 『パワーアップしたと思ったら弱くなっている?』



 …という魅せ方もある。印象に残っていて確認しやすい作品として挙げておくと『仮面ライダークウガ』がある。スタンダード形態の他にイロイロあるんですが、スピード・跳躍力は飛躍的にアップするのに力が弱くなってしまうドラゴンフォームなんてのがありました。それ以上に困ったのがペガサスフォームでして、短時間しか使えない上に感覚が極限まで敏感になってそれだけでも苦しいのに、身体能力はガタ落ち、攻撃回数も極端に少ないというものでした。



 ここで『?』と惹きつけられるかが作り手の腕なんですが、やはり難しい。インフレのリスクはありますが『分かりやすい』というのがいまだにメインとして使われるのはそういうコトなのでしょう。



 ただ、これはチャンピオン屈指の技巧派『ビースターズ』なもんですから、キチンと魅せてます。自分が感心したのは『レゴシがそこまで深刻になってない』のと、『間髪入れずに今週には答えを描いた』という点にあると思います。



 

悪役の魅せ方             伊科田海『GREAT OLD』

週刊少年チャンピオン
02 /05 2018


 マンガとは何か?を考えるにあたって、俺は『さるマン』が最も役に立つと感じてます。


 マンガを描くテクニックというのはほとんど無いのですが、マンガを分析する…という意味では30年ぐらいたった今でもズ抜けた存在に感じます。


 その中で『ガキはウンコとかオチンチンが大好きだけど、親御さんはそういうの読ませたくないのにどう対処するか?』が描かれていて、これは今でいう『表現自主規制』に対して有効な手立てだ。



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 やっぱ、普通に生きていてもイライラして『アイツはクソだ!!』とか『ブッ殺してぇ!!』とか『幸せなアイツが転落するのを見たい』とかどす黒い感情は誰にもあるんです。無いとは言わせない。



 じゃあ、マンガで主人公はそれに倣った行動しちゃったらマズイんですよ。そういうものを抱えた人が読んでも『それは無いだろ』という気持ちになる。共感したら『マズイだろ』って。



 なので今回の『GREAT OLD』みたいに処理するのがマンガで有効なテクニックです。『そう思うのは理解できるけど、やっちゃったらマズイよね』っていうのが普通の感覚なんです。そして、誰しもが持っているネガティブな部分もまた作品の中で描くというのがフィクションの大事な役割でもあるんですよね。



 来週は単行本発売記念のカラーか~。楽しみです。

宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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