- 豚か狼か

はじめての動揺       安部真弘『あつまれ!ふしぎ研究部』

週刊少年チャンピオン
08 /17 2017


 俺、命は平等で尊いなんて微塵も思っちゃいないんです。正確には『俺の好きな人・大事な人の命は尊い』です。



 もしねそれが本気であるのならば生きていけない。ニュースをチラッと見れば紛争やテロでの死亡もあるし、事故・災害だってある。そうだとしたら耐えられない。それを平気で言えるヤツこそ命を軽視しているとしか思えないなあ。


 特に俺はその傾向が強い。博愛は信じられないけど、偏愛には納得します。




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 『フシケン』の鈴が好きなのはそういう理由から。このコは偏愛タイプです。興味の無いコトにはとことん興味が無い反面、大事なものに対する気持ちが深いんですよね。


 で、今回初めて動揺するシーンが描かれてますが、これはいかにも鈴です。熊が襲撃した時も一番平然としていた彼女が、こんな時はこんなにモロいんです。普段の彼女からすると、周囲は薄情と感じるかもしれませんが、そんなコトは無いんですよね。博愛よりも偏愛の人のがココ一番信用できると感じてます。



底暗い引力            星野茂樹・オガツカヅオ『ことなかれ』

マンガレビュー
08 /16 2017


 マンガブログを続けて感じるのは『良さを数値化できない』というコト。絵が何点で、アイディアが何点で…とかそういう感じで。少なくとも自分には無理です。イメージできない。



 その数値化できないマンガの魅力に『引力』がある。その内側に向かって『吸い込まれるような感覚』だ。なんつーか、吸い込まれたらヤバいというのは直感できるんですが、同時に吸い込まれしまいたいという謎の衝動だ。その引力にも種類があって、輝かしい太陽の時もあれば、その逆もある。



 星野茂樹&オガツカヅオ先生の『ことなかれ』はそんな逆の作品だ。底暗い引力を感じる。引き込まれてはヤバい……だけど。



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 単行本が発売されちゃったよ!!


 …という気持ちがある。なんでしょう?この感覚!!まるで『パンドラの箱』みたいな。放っちゃいけないけど、放ちたいみたいな。この作品は『感覚』にくる。一応はマンガブログなんで『分かりやすく作品の面白さを記事にする』というのをしたいのですが、とても困難だ。だけど『引力がスゴイんです!!』と手当たり次第にオススメしたくなる。



 この正体が分からないけど、引き寄せられるという感覚は『恐怖』でもあるんですが、どういう訳か『引き込まれたい』という感覚もある。このせめぎ合いがエラく快感だ。事実、この『ことなかれ』は何度も読み返したくなるテイストがある。この正体が分からないし、分かりたくもある。未知に対する好奇心が刺激される怪作と言えましょう。



 なお作画名義になっているオガツカヅオ先生ですが『りんたとさじ』のスピンオフとも言える作品であり、こちらの作品のテイストはキッチリ感じられるものに仕上がってます。また、原作者である星野茂樹先生は『解体屋ゲン』というガテン系痛快マンガを長期連載されてますが、真逆ともとれる作品に挑んでいるのも興味深い(あとがき参照)。



 イロイロ書きましたが、この作品について伝えるのは本当に困難です。でも本当に『引力スゴイから読んで!!』という感じになっちやう。ガキの頃、怖いもの(本とかビデオ)に近づいちゃいけないと理性がありつつも、抗えない感情にズルズルと引っ張られた……そんな方に特にオススメなんです。


雪崩式テンパリヒロイン   由伊大輔『弓塚いろはは手順が大事!』

マンガレビュー
08 /16 2017


 ガッツ星人!!!!!


 『ウルトラセブン』の『セブン暗殺計画』に登場したガッツ星人は『放映中、唯一セブンを倒した敵』として名高いが、他の敵と大きく違うのは計画性だ。


 ウルトラセブンを倒す為のデータ収拾を冒頭から綿密に行っているのもさることながら、『だったらダン(人間状態)を倒せば良くね?』というクエスチョンに対し『人類に絶望感を与える効果』まで考慮している。事実、敗北して、十字架に貼り付けられたウルトラセブンで前編が終わるのは視聴者も絶望感モリモリである。


 が、アウトオブ眼中だったウルトラ警備隊の活躍によって、セブンが復活し、間髪入れずに宇宙船ごと爆破されてしまうガッツ星人もまた印象的であった。「いや、リターンマッチはやはり格闘戦だろ」というチルドレンの要望でなく、ガッツ星人の『計画性のある知的な宇宙人のモロさ』を描いたのだ。


 この知的なヤツが予想外の行動によってテンパル展開というのは大好物でして(例・パソコン片手にこんなのデータに無いぞ!?)、最近はちょっと見かけないな~とか思ってましたが



 



 出ました、大好物!!


 この作品は過去に記事にしました『弓塚さんは今日も的外れ』の連載版となっております。もちろんパワーアップしており、残念女子から雪崩式テンパリヒロインという斬新な方向にエボリューションしてしまったのだ。


 なんつーか、アクセルとブレーキを踏み間違えてコンビニに突っ込むトコロから、コースアウトしたミニ四駆のように暴走してなぎ倒すように破壊していく…みたいな。


 が、周囲は『弓塚さんスゲー!!』と圧倒的勘違いしている為に、ボロが出ないように弦岡くんが頑張っております(割と貧乏くじ)。果たして、弦岡くんは報われるのか?(多分、報われない)



 読んでて感じるのが『それにしても弓塚さんのモロさはスゴイ』という部分。これでは見本写真と全く違うマクドナ〇ドですらクリアできない(本当にこんな作品)。このギャップの振り切れ方は新しいヒロイン像だな~と感じます。由伊先生の作品はポピュラーな娯楽志向があって、そのマンガ感がたまりません。



 …そして、作品の至るトコロに『フェチ』を感じられるのは気のせいか?確かにポニーテールは男子の劣情を煽りますね(先日そんな事件があった)。





 



 

オタク多様化         森繁拓真『ボイラジ 僕の好きなパーソナリティ』      

マンガレビュー
08 /16 2017

 同年代のオタク友人と話すんですよね。『最近のオタクが分からん』と。


 『いや、オタク自称しているのに作者名とか監督名とか覚えて無いのが訳分からん』

 『だよね~。じゃあ作品を判断する時どうするんだろ?』

 『で、イマドキは声優さん人気みたいなんだけど、どうも彼等って演技力がどうのこうのでは無いように感じるんだわ。なんつーか、アイドルっぺえ楽しみみたいに映る』

 『そういう楽しみ方にシフトしたのかな~』


 …みたいな具合に。『理解したいけど、理解できない』みたいなモヤモヤ感だ。だけど、そういうのを否定的にしか捉えられなくなったらオタクでなくて老害だな~とも思う。『空手バカ一代』で『一生ウシを倒せる強さを維持してやる!発言』よろしく俺もこうありたいのだ。


 さておいて

 『獣の槍事件』でモンハンを挫折した俺は『艦これ』を始めた。確か三周年頃なんで『今更!?』とも言われましたが、とりあえず。このゲームはハンパなく艦娘(ヒロイン)が出るので、一人の声優さんが多数のキャラを担当するんですが『声優さんって、すごい人はすごいな~』と痛感した。若いオタクの方の『なぜ?』が少し理解できた気がした。

 個人的にスゴイと感じた一人を上げると茅野 愛衣さんですね。大好きな『ガールズ&パンツァー』の沙織役でしたが、調べるまで『艦これ』やっているとは思わなかった。確かにろーチャンにそんな雰囲気ありますが、朝霜もやっていたとは…。この朝霜の演技がスゴイと感じてます。『一見、ヘタクソなのを演技している』という深さを感じますね。目からウロコでした。



 



 …と前置きが長くなりましたが、森繁拓真先生の新作『ボイラジ 僕の好きなパーソナリティ』です。『となりの関くん』『おとうふ次元』はもちろん、チャンピオン読者としては『アイホシモドキ』も馴染み深いマンガ家さんですね。


 森繁先生の作品ですごいな~と感じるのを二つ挙げると

 
 ①居そう感~マンガのキャラクターって、やっぱりアレンジされるんですよね。高校生だけど考え方が大人びているとか。その資金源はどこからみたいにイロイロ買えたりとか。ここら辺はマンガの優先順位が絡んでくるんです。森繁先生の作品って『こんな高校生ですよね』とかそういう、居そう感が面白いんです。


 ②多様感~個人的に『守備範囲が広いマンガ家さん』というのに憧れがあります。古くは横山光輝先生などはどうなってんの?と感じる。『鉄人28号』『魔法使いサリー』『バビル2世』『三国志』等々…。このように『なんでもチャレンジ』という作風は『次は何が来る?』というワクワク感が読者としてはたまらない。森繁先生もまた拡大し続けている。



 そして、今回もこの二点をガッチリキープしているのが『ボイラジ』なんですよね~。


 この作品に出てくる主人公・青倉はもちろん、阿出さん・新田というオタクたちが面白い。彼等の言い分には『分かる』と『分からん』が混在しているトコロがとても面白い。


 それでいいよ。そんなもんだよ。
 

 …というアバウト心地良さがこの作品の中に在る。オタクの悪いトコロに『マウント取りたがる』とか『論破』とかありますが、ンなコトしなくていい。これが自然だし、それを少しずつ吸収できればいいんじゃない?という『価値観の多様化』に対するアンサーを感じる。


 そして、今回はどうにも『ラブ(?)コメ』に転がるかもしれないのが見どころです。『アイホシモドキ』だと『コイツ等面白い関係だな~』というトコロに転がったコトもあるので、ここら辺も期待しております。

飲酒イベント!!            ざら『ふたりでひとりぐらし、』

ざら『しかくいシカク』『ふたりでひとりぐらし、』
08 /15 2017


 20歳になって許されるものは『酒』と『タバコ』なんですが、どちらも嗜好品であるけど決定的な違いがあるな~と感じます。


 まあ、ここ最近はタバコの迫害がいよいよキチガイレベルに到達した感がありますよね。自宅でも吸ってはいけない動きは異常。酒などの害……例えば飲酒運転が元で何人も死んだり、その家族・親族を苦しめているのも看過できないじゃん。さらに言えば『クルマがあるから交通事故死亡者が出る。クルマを無くせ』にはならんでしょ。もちろん嫌煙派の言い分もあるし、吸殻散らかしたり嫌いな人の前で吸うのは人としてヤバイよなとは思うけど、嫌煙派の一部のそれは『それ以上にヤバイ』という気が。個人的には酒のがイロイロとヤバイ気がするんだけどな…。


 そういうコトで、どういう訳か『酒に対してはだいたいの人が寛容』というのがある。そして、決定的な違いは『だいたいの人が20歳になったら、とりあえず酒を飲んでみる』というのを経験する。もちろん『合わない』とする方も多く居るけど、タバコはそうはいかない。もう一度書きますが、酒に対しては寛容なんです。




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 というコトで今回の『ふたりでひとりぐらし、』は初めての酒というイベントが盛り込まれてます。



 しかしさあ…



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 お通しとか

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 粋とか

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 謎の作法とか



 …酒というのは『つくづくおかしな世界』だと思います。


 ちょこちょこ書いてますが、自分は『仕事上の酒』ってだいたいイヤなんですよ。『酒パワーで距離感縮める』という考え方と、それに『酒の席だからと甘えてくる人』が気持ち悪い。もちろんそれがいいという人も居るけど、俺は馴染まない。俺にとっては『一緒に飲みたいですね』というのはその時点で好感度が高い人…というコトになる。飲みニケーションなんて言葉で押し通されますが、まだまだ日本人はそういうのド下手くそなんじゃないかと。酒を同調圧力の道具に使っているようではね…(オメーが言うなという気もするけど)。



 で、今回の『ふたりでひとりぐらし、』で感心したのが、好奇心が後押ししているというのもあるけど『イベントとしての下調べ』で飲酒をしているコト。ちゃんとオチに反映されているし、サンゴ先生も『こういうトコロはキチッと大人』なんですよね。『酒の席だから…』に逃げてない。



 そう言えば


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 実は『無印は全巻初版で持ってます!!』というジョジョファンだったりしますが、初めてジャンプで読んだのが第三話『愛しのエリナ』の回だったので、このラストシーンにメチャクチャ混乱したとを覚えてます。その混乱っぷりが妙に快感で……ね。俺にとってのマンガは酒みたいなもんだな。重度のアル中だ。



 余談だけど、単行本二巻の時にサイン本販売あったみたいだけど、宇都宮という立地はこういうのにだいたい絡まないのがツライ……。なんとかしてくれまんがの殿堂・芳文社!!





こういうのでいいんだ。こういうので。        金田陽介『寄宿学校のジュリエット』

マンガレビュー
08 /15 2017


 『孤独のグルメ』は自営業やっているゴローチャンが、一人でメシくっているだけのマンガですが、当然に面白い。そこに共感が在る。


 『こういうのでいいんだ。こういうので』


 …と感想するシーンがあるが、それは何の変哲も無いハンバーグランチである。だが分かる。そう『こういうのでいいんだ』というコト。マンガもそういうのあると思うんですよね。イロイロ巡って『こういうのでいいんだ』という作品が。



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 さて、今回は 金田陽介先生の『寄宿学校のジュリエット』の最新巻です。このマンガはあれよあれよと出世して、いよいよ週刊マガジンに移籍決定です。おそらく水面下ではアニメ化の話も出ているだろうし、かなりの規模で売り出し攻勢かけてくるだろう。



 が、この作品は何も特殊なものでは無い。『世間体があるんで、密かに付き合っているカップル』というスタンダードである。主人公・露壬雄は昔の熱血型ですらある。フォーマットとしてはかなり前の世代だ。が、読んでて感じるのが



 『こういうのでいいんだ』



 …というコト。そして、この作品が受け入れられたというのは『そういうのを求めている読者が多かった』というコトでもある。



 2000年代初頭ぐらいからはいわゆる『ハーレムもの』というのにシフトした感がある。一人の主人公が多数にモテモテという感じ。ここから『異世界に召集』とかイロイロな肉付けをしていく。この『ジュリエット』という作品はこれらの作品とは骨格そのものが違うのだ。


 これ作品を楽しむ上で重要な資質ではあるんですが、主人公を『自分の分身』として観る方と『そうでない』と観る方が居る。俺は圧倒的後者なんです。そういう人にはハーレムものというのは相性悪い気がするんですよね。成り行きとは言え、アチコチの女の子と仲良くしている他人には厳しくなりますもん。


 なので、この作品はとても相性が良い。それぞれのキャラを応援したくなる。特に主人公・露壬雄がいい。こういう頼もしいヤツは誰だって友達に欲しいしね。


 しかし、こういうフォーマットが受け入れられるというのはマンガは奥深い。『こういうのでいいんだ』というのはむしろ攻めの姿勢だったりもする。




真面目さ            板倉梓『間くんは選べない』

マンガレビュー
08 /14 2017


 人間の性質というのは『環境』なのか『生来のもの』なのかというのは判断に困るし、結局のトコロは『互いに干渉している』という気もする。なんだけど、同じような環境で育っているはずの姉と俺とでは全然気質が違う。見事に。マンガブログなどやっているようなオタクな俺ですが、姉はもちろん家族親戚一同は『そういうのに関心が無い。或いは価値の無いもの』というように感じている。しかし、これが『理解のある環境』であったならば『ここまでこじらせなかった』という気もする。


 あらゆる要素がかみ合って人格は形成されるのだろう。『レシピ』というよりは『偶発的な運まかせ』という感じに。


 そして、『真面目さ』というのもそういうものなんかもしんない。




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 さて、二巻が発売された 板倉梓先生の『間くんは選べない』です。


 前巻では彼女が同時にできて、あんりチャンと男女合体ウルトラマンエースを果たしたところで続いてますが、ここら辺はニコニコ静画の配信(期間限定)を読まれたし。


 で、この二巻ではいよいよ間くんのフルコンタクト実践クソ男っぷりが遺憾なく発揮されております。いや~面白い!!


 この作品を読んで感じるのが『真面目さってなんだ?』なんです。実際、作中でも間くんはコトあるごとに『真面目』と呼ばれている。そして本人も『真面目は数少ない取り得』みたいに認識しているトコロがある。



 が、俺は感じてしまった。



 コイツ、実は全然真面目じゃ無いんじゃ……というコトに。生来的に真面目じゃないのに、環境によって『一見真面目』になっただけなんじゃなかろうか?臭う…臭うぜぇ!!ゲロ以下の臭いがプンプンするぜぇッ!!



 そうすると合点がいく。



 そして


 マンガブログを続けて大きくなってきた感情ですが、『人(作品)を見るというのは本当に難しい』というコト。多くの方が『雰囲気』とか『バックボーン』とかに騙されちゃうんですよ。例えば、そうでなければタレント政治家なんて異常なものは存在しない。気付くというのは本当に難しい。


 マンガというのは『分かりやすい悪人』が『罰を受ける』という面白さがありますが、このマンガは『周囲も自身も認識が誤っている?』という面白さがあるなあ。そして、リアル社会でのトラブルはだいたいが後者なんですよね。


 しかし、このマンガの落としドコロはどうなるんだろう?島本和彦先生のマンガに『第三のヒロインが現われて、そのコとくっつく!!』というのがあって、そのマンガ家志望は鉄拳制裁されていたけど。




知識もまた道具      尾々根正・大鳥居明楽『靴理人』

週刊漫画TIMES
08 /13 2017
『乗っているものが高価で素晴らしいものであっても、それでアナタ自身が偉くなったり能力が上がる訳ではありません。むしろそれに相応しい品格が求められるのです』



 …みたいな言葉をとあるマンガのあとがきに書かれていて、俺は衝撃を受けた。『そうだ、確かにそうだ。道具は道具であってそれを所持しているだけで人間性が向上するとか威張っていいなんて貧しい考えなんだ』と感じた。それは古典『ドラえもん』でさんざん描かれていたコトでもある。のび太は大抵失敗するが、たまに正しさを感じる意志を乗っけて道具を使う。



 そして、これは個人的に感じているコトなんですが『知識もまた道具』というコト。知識によって良い学校に就いたりするコトはできますが、それによって人間性そのものの向上とイコールにならないし、それを多く持っているコトによって少ない者を害する理由にならない。


 道具を如何に使うか?


 これこそが品格であろう。道具を使うのは人間ならでは。そして、品格を求められるのも人間ならでは。道具の使い方に品格が無いのは動物的ではなかろうか?



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 さて、今回は 尾々根正&大鳥居明楽先生の『靴理人』(シューリニン)です。


 フォーマットとしては『その人の履いている靴を見て、どのようなものを抱えているかを見抜く凄腕の靴修理人・尚木翔良(なおきしょうすけ)が修理を通じて綴られる一話完結方式のドラマです。全三巻という読みやすいボリュームでもあるし、この手のマンガは『たまに読み返したい』という面白さもあります。



 このマンガを読んで痛感するのが『知識を如何に使うか?』なんですよね。実際、このマンガを読むと靴に対する知識や感心が深まる。俺も『靴 減り方』でググッたし。確かに『ウンチクのつのるマンガ』というのは世に多く出ている。が、これを読まれている方も経験あると思うけど『つまらない』となった作品もあるだろう。学校の授業が基本つまらないように(そもそも学校は集団の中での振る舞い訓練が目的だし)。 


 このマンガは知識の使い方に品格を感じる


 …というコト。ここで描かれている『ウンチク』は、あくまで『人間ドラマを描くための道具』というコトだ。ウンチクを語り、相手にマウント取るのが目的では無いというコト。この手のマンガで『つまらない』というのはだいたいが『知識が目的』としての道具になっているんですよね。



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 また、作画の尾々根先生のテクニックは素晴らしいものがあって、特に感心したのがこのキャラかな?いわゆる『ストーカー気質のキ〇ガイ』で、こういうキャラってやたら幼児性の強調された描かれ方をして、オーバーアクション気味なんですが、その静かな佇まいが『逆にヤバい』と。自分のやっているコトに対して『無自覚』なのが狂っているなあ…と。目の描き方のサジ加減が絶妙なんですよね。



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 あと、悪役なんですが島耕作似というのに輝かしい悪意しか感じ無い。念の為、大絶賛の意味で。そもそも赤潮出版というのもたいそうヤバいなあ……。絶対、関わったらダメでしょ。


 そこはかとなく『いかにもマンガ的な面白さ』が濃縮されている(スキャン能力とかキメゼリフ)のも、この作品の魅力でしょう。ただ、それはドラマがシッカリ描かれている故の安定感なんです。





23歳という禁忌(タブー)に挑む!!          阿部かなり『みゃーこせんせぇ』

まんがきらら系
08 /12 2017
 きらら系というのは『イイ感じにアチョーな作品が載る』というのがあって、過去には『スイーツどんぶり』とかアレで楽しかったです。


 そして、ここ最近のきららで注目しているのが 阿部かなり先生の『みゃーこせんせぇ』だったりする。この作品もきらら系らしく、短期集中から本連載昇格という流れです。



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 主人公23歳!!!!!


 …という禁忌(タブー)に挑んだ次点でアチョー指数は高めになっている。もちろん、過去・現在進行形のきらら作品でもそれ以上の年齢キャラは居ますが、魔物がらみだったり、本連載まで上がれなかったりで、そういうの無しで23歳だったりするのは珍しい。


 主人公みゃーこ先生(鹿島美夜子)は保険医であるくせにモノホンのサイテン(本物の天才)で゛あるが為に『それ、やっちゃマズイよね』のコトばかりしている。その頭脳があれば愚かなる人類の救済することすら可能であるが、本人は中二病をこじらせているが為に興味が無いようだ。


 そして、このマンガの特徴ですが



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 なんか


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 かなり結構バイオレンスしてて、



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 対するキャラたちも


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 メチャクチャにガラが悪かったりする。



 さてさて、この作品はどう転がっていくのか?なんかスデにブレーキが存在してないような作品なんだけど、自分としては『もっとアクセルを踏み込め!!』と期待せずにはいられない作品でもあります。コースアウトだと思ったらマグナムトルネードだった…みたいなのがよく似合います。もっと酷くなれ!!


キャラクターは生きている         原悠衣『きんいろモザイク』

原悠衣『きんいろモザイク』とかイロイロ
08 /11 2017


 よく『読者の目は厳しい』なんて言われますが、特に厳しい部分ってストーリー展開とかより『キャラクター』に対してなんじゃないでしょうか?


 このキャラクターはこんなコトしないよなぁ……



 と思われた途端に作品が嘘くさく感じられる。それまで楽しく読んでいたものに対して『やっぱりフィクションか…』と一体感が剥離してしまったり。そういう部分って本当に厳しいな…と感じられます。


 だからと言って、予定調和の中のキャラは面白く無い。面白さは『意外性』の中に在る。『いや、ひょっとしたら、コイツならするかも…』というサジ加減の絶妙さがマンガ家さんの腕でしょう。




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 さて、今回の『きんいろモザイク』はカレンと陽子が見た夢をアヤヤが聞いてますが…?というものでアヤヤ爆発回でした。


 『きんいろモザイク』という作品に於いて、アクティブに動かしているのはカレンでしょう。『サザエさん』というタイトルなのに主導権持っているのはカツオみたいな感覚で。だけど、アリスと忍がメインというバランスです。そして、意外性が最も少ないのは陽子に感じられます。もちろんこれは良い意味で。そして、作品を影で支配しているのは……アヤヤかな。『きんいろモザイク』はここら辺のバランスが絶妙だ。


 …と言っても、アヤヤは最初からこうだった訳でもなく、連載が進むに従って変化した感じ。これはマンガの予測できない面白さだろう。


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 夢の話だというのに…


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 なんか…


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 リアルでもこんなトンチキやりそうなキャラがアヤヤ!!一番マトモそうなヤツが実は一番狂っているというキャラはおいしいなあ……。


 これが連載初期であったら『???』と読者大混乱でしたが、いつの間にやら『これでこそアヤヤ』になっているんですよね。つくづくキャラクターは生き物だな~と感じます。





宇都宮 勇

魔中年の書く、かなり結構ダメダメなブログです。週刊少年チャンピオンの感想記事をメインにやってます。

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